<AKATSUKI FIVE> 内海HCと12選手のコメント
リオ五輪 スピードで世界を脅かした女子日本代表

構成/舟山緑 小永吉陽子 写真/fiba.com

最後はアメリカに大敗したが、日本がリオで見せた奮闘は、多くのリスペクトもかちとった。試合後はアメリカ代表と記念撮影(写真提供:fiba.com)

Rio 2016 ★★★ AKATSUKI FIVEが戦ったリオの大舞台

スピードで世界を脅かした女子日本代表

リオ五輪・準々決勝で日本は64-110でアメリカに大敗し、大会を終了した。
前半は2点差まで詰め寄るなど、大会5連覇中の女王アメリカを前半だけは苦しめた。
最終順位はベスト8で終わったが、予選ラウンドで3勝をあげるなど、収穫の多い大会だった。
平均身長177.7㎝、平均年齢24.8歳と若い日本が、
持ち前のスピードを武器に、3ポイントやドライブインで得点を重ね、
しつこいチーム・ディフェンスで対戦相手を苦しめたバスケットは、
世界中のバスケファンに大きな印象を残したとも言えよう。
ここでは、個々の選手のリオ五輪での働きを評価するとともに、
内海ヘッドコーチと12選手の最終戦を終えてのコメントをお届けする。

 
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■内海 知秀 ヘッドコーチ

「4年後の東京オリンピックにつながる大きなステップに」

内海ヘッドコーチ

「ノーマークにすると必ず決めてくるアメリカはさすがでした。点を取られるのはしょうがない部分がありましたが、われわれがどう点を取るかでした。とにかく選手たちは本当に良く戦ってくれたと思います。

2012 年のロンドン予選(OQT:トルコ)が終わってから、この大会を目指して4 年間。アジアチャンピオンになって臨んだ中で、私も選手もチームスタッフも、またサポート・スタッフも、この大会に懸ける非常に強い想いがありました。メダルを目指していたので、予選リーグでもっと上の順位で決勝トーナメントに進みたかったというのが正直な気持ちです。

しかし、予選ラウンドをどう戦うかを含めて、4 年後の2020年東京オリンピックに向け、大きなステップになった大会になったと感じています」
 
 

■#12 吉田 亜沙美(PG/165㎝/28歳/JX-ENEOS)

リオでは果敢にゴールに向かった吉田亜沙美(fiba.com)


【Rio 2016】 
 大会を通じて日本を牽引したキャプテン。4年前のOQT――。ラスト一枚の切符をかけて戦ったカナダ戦に敗れ、オリンピックの扉が閉ざされた時から吉田は言い続けていた。「日本を絶対にオリンピックに連れて行く」と。キャプテンのその思いは言動となって現れ、この大会にすべてを懸けて戦う姿には魂がこもっていた。

 日本が今まで以上に速いトランジションの展開を仕掛けたこと、ベラルーシとブラジルに連勝するいい入り方ができたのは吉田のスピーディーなリードがあったからだ。フランス戦では栗原三佳が徹底マークされたぶん、自分で得点を取りに行く役割も果たした。

それだけに、一時は16点リードを奪ったオーストラリア戦と、3位以上を目指すために13点差以上の勝利を狙っていたフランス戦の終盤に犯したターンオーバーが悔やまれる。

競った場面や走れない時にどうゲームを作るか、ミスをしないことを含めてゲームメイクの向上を自身の課題にあげた。日本の絶対的司令塔が、国内にいては得られることのできなかった課題に向き合えたことこそ、日本が向上していくためのステップとなる。

 

「悔しい負けだが、達成感、満足感の中でプレーできた幸せ。
応援してくれる人たちの存在が、私の気持ちを熱くさせてくれた」

司令塔・吉田のスピードが大きくチームを牽引した(fiba.com)

「目標はメダルだったので、負けたことは悔しいです。でも、ここまでこられたことをチームメイトとスタッフに感謝し、またファンや家族、友人に支えられてバスケットができたことを本当に感謝します。このチームのキャプテン、ポイントガードをやらせてもらってとても幸せに思っています。

(試合後の涙は)悔しい思いが一番ですが、オリンピック期間中、ずっと充実した気持ちでバスケットができていたし、このチームでバスケットできることが楽しかったので、1 試合でも多くチームメイトと試合をしたかったという気持ちでした。何よりも会場に応援にきてくれた家族やファン、チームスタッフ、勝っても負けても応援してくれている人たちの存在が私の気持ちを熱くさせてくれ、また支えにもなっていたので、いろいろな感情が入り混じった涙でした。

ここまでやってこられて良かったという達成感、満足感が多い中で、「メダルを狙いにいけた」という瞬間が見えた手応えもあったので、そこは悔しいです。

(前半2 点差の場面は)アメリカを本気にさせたのは日本の強さでもありましたが、後半の入りで一気に20 点リードされたのは、日本の弱さでもありました。しかし、世界No.1 の素晴らしいチームと試合ができたのは良い経験になったと同時に、私たちの今後のバスケットボール人生の財産となったと思います。本当に強かったというただそれだけです。

このオリンピックで、日本のように小さいチームでも世界と戦っていけることを少しでも証明できたかなと思います。私たちのバスケットで、一人でも多くの人に感動と勇気を与えられたらいいなと思って臨みました。

結果が全ての世界ですので、メダルを持って帰れないのは、バスケットをメジャースポーツにしていくという私の願いからみれば悔しいです。また大事なところでミスもあり、私の新たな課題として、ゲームメイクを磨かなければならないと思っています。この結果を受け止め、次のステップに向けて頑張っていくだけです」
 
 

■#10 渡嘉敷 来夢(PF/193㎝/25歳/シアトル・ストーム)

【Rio 2016】 
大会直前の合流ながら、渡嘉敷来夢というエースの加入によって、日本の総合力がバージョンアップしたことは間違いない。精度が増したジャンプシュートやドライブインなど積極性あるプレーで得点を重ね、ディフェンス面では相手センターを1対1で守るだけでなく、読みのいいスティールや豪快なブロックショットでチームの危機を幾度も救った貢献も見逃せない。

予選ラウンド5試合での平均17.6得点は全体4位、リバウンド7本は全体8位と、日本のエースと呼ばれるだけのスタッツを残した。

しかし、スタミナ面では大会終盤になるにつれて疲労の色が濃くなっていき、大事な場面で活躍するだけの活力が残されていなかった。予選ラウンドで平均36.2分のプレータイムは、今シーズンのWNBAでの平均11.6分に比べると3倍の長さ。試合を通して相手のエースやセンターに対抗する術は宿題として残った。自身も「これが自分のレベルで、日本のレベル」と認めたうえで、さらにWNBAで修行を積む覚悟だ。
 


「オリンピックは自分のバスケットボール人生で一番大きな出来事に。
全てを出し切ったが、アメリカとはもっと上の回戦で対戦したかった」

得意のミドルショットやスピードあるドライブで存在感を大きく示した渡嘉敷来夢(fiba.com)

「どんなに良いゲームをしても、負けは負けなので、本当に悔しいです。ただ、最後に良い形で自分たちの全てを出し切ることができ、やりきったという手応えもあります。これが自分のレベルですし、日本のレベルだと思っています。

ただ、アメリカとはもう少し上の回戦で対戦し、もっといいゲームをしたかったです。でも、もう終わってしまったこと。今は、オリンピックという舞台の最後をアメリカ戦で終えることができ良かったと思っています。

オリンピックは自分のバスケットボール人生で一番大きな出来事になりました。ひと言でいうと、すごく楽しかったです。オリンピックに出場すれば、「今度はメダル」と欲が出てきます。やはりメダルを獲って帰りたかったのが正直な気持ちです。

この後は、8月26日(現地時間)からアメリカのWNBAシーズンが再開されるので、そこで1分でも多く試合に出て、さらにレベルアップしていきたいと思っています」
 
 
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