琉球ゴールデンキングス、優勝への道のり
王座奪還。

文/鈴木栄一  写真/加藤よしお

「激しさ」と「徹底」、泥臭いプレイがもたらした王座奪還

昨年の悔しさから進化した
沖縄のバスケットスタイル

5月20日、プロバスケットボールリーグ、bjリーグの2011−12年シーズンのリーグ王者を決める決勝が行なわれた。そしてプレーオフの史上最多9,402人と日本バスケットボール界では傑出すべき観客が見守る中、王者となったのは琉球ゴールデンキングス(以下、沖縄)だった。1年前、同じ決勝で対戦するも敗れた浜松・東三河フェニックスを89-73で撃破し、3シーズンぶり2度目のチャンピオンに。リーグ参入2年目、1年目の最下位から一気に頂点に立った奇跡を起こしたあと、過去2シーズンは3位、2位とあと一歩で優勝を逃していた沖縄。それだけに今季は「優勝以外は失敗」という思いでシーズンに臨んでおり、この強い決意が王座奪還を導く大きな要因となった。

従来のファイナル4からファイナルズと名称を変えた今年のプレーオフだが、沖縄にとって大きなプラス要素となったのは、何といっても沖縄から詰めかけた熱狂的な大勢のブースター。沖縄から約400人から500人が駆けつけたと言われ、ファイナルズに出場した他の3チームに比べ段違いに滞在費用がかかる状況でありながら、沖縄のファンの数は頭1つ抜けて多かった。有明でのプレーオフに今年で出場したのは4年連続4度目だが、沖縄ファンが出場チームの中で一番多いのはすでに恒例となっている。

沖縄から有明に駆けつけた大勢のブースターたち。熱狂的な大声援が沖縄の優勝を後押しした

このファイナルズが示すように沖縄は、bjリーグの中でずば抜けた集客力を誇る。リーグ半分以上のチームが2,000人以上の集客を集めるのに苦戦する中、沖縄のホームゲームの大半では会場が満員になることも珍しくなく、今季の1試合平均観客数は2,962名と断トツの数字だ。

また、沖縄の人気の高さを表す象徴的な試合として紹介したいのが、球団初の離島開催となった石垣島での試合。1月28日、29日に行なわれたこの2連戦ではポストシーズン、開幕戦でもない通常のレギュラーシーズンだったにも関わらず両日とも前売り券は完売。28日は2,592名、29日は2,812名と、ともに立ち見で埋まる超満員だった。ちなみに石垣島の人口は約5万人、この試合を観戦するため沖縄本島、県外から来た人、2日連続で観戦した人もいるだろうが、それでも単純計算でいって2日間で計5,000人以上と、島の総人口の10%以上にあたる人々がマイナーな存在に終わっている日本のバスケットボールの試合に訪れたのは驚異的という他にない。

では、プレーオフで良い意味で変わらないのがファンの声援だとすれば、昨年とまったく違ったのが沖縄のバスケットボールだった。王者を逃した過去2シーズンにはなかったが、ルーズボール、リバウンドへの執着心を見せた激しいプレイ、そしてコーチの立てたゲームプランを確実に遂行する実行力。この2つが王者に返り咲けた最大の要因だった。

ただ、このプレーオフでの戦いについて触れる前にレギュラーシーズンを振り返ってみたいと思う。今季の沖縄の歩みを見るとレギュラーシーズンの成績は、39勝13敗でリーグトップ。シーズン中、連敗を喫したのは3連敗が一度のみで、あとは2連敗もなかった。そしてチャンピオンになったのだから、一見するとまさに順風満帆だったように見える。しかし、実際は決して最初から最後まで順調だった訳ではなく、桶谷大HC、そして選手たちは優勝を義務づけられる大きなプレッシャーの中、苦闘しながらつかんだ栄冠だったと言えるだろう。

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