WリーグMVP、日本の若き司令塔
高い集中力と強いプライドで挑む!

文/舟山 緑  写真/相沢清司、小永吉陽子

吉田亜沙美(165cm/G/24歳/JXサンフラワーズ)

長崎でのアジア予選での悔しさは、世界最終予選でしか晴らせない。
1番としても自分が変われる大きなチャンス、
意識を高く持って、日本代表として恥じない結果を!


内海ジャパンでは1番としてチームを牽引する吉田亜沙美(JX)。
昨シーズンのWリーグでレギュラーシーズンとファイナルの両MVPとなった吉田は、
代表活動が始動する前から「自分がチームを引っ張っていく」と語っていた。
これまでチームを牽引してきた大神(JX)が、足のリハビリのためにチームへの合流が遅れるなか
「自分が……」という気持ちもあったかもしれない。
しかし、それ以上に、「1番としてもっともっとステップアップしていきたい」という強い決意が、
その言葉にはのぞいていた。

昨年の長崎・大村でのアジア予選が終わった時、吉田の目からは悔し涙があふれて止まらなかった。
自分のミスで崩れてしまったこと、もっと積極的に点を取りにいかなくはならなかったこと。
Wリーグでは、1番、時に2番として戦いながら、吉田は常に自分の課題と向き合ってきた。
世界最終予選を前にして彼女は何度も「意識を高く持っていかないと」という言葉を語ってくれた。

ロンドンへの切符を手に入れるために、今、何が出来ていて、何がまだ足りないのか。
チームを牽引する司令塔として、冷静に厳しくチームを分析してくれた。
長崎で流した涙を払拭するために、吉田はこれまで以上に堅い決意でトルコでの決戦に挑む。


トルコ遠征で手応えを感じたチーム・ディフェンス。オフェンスはターンオーバーが課題

「新たに入ったメンバーもいるので積極的にコミュニケーションをとり、チームをまとめていきたい」と語っていた吉田。チームを牽引していくという自覚が強く感じられる

――5月のトルコ遠征でここは通用したなと感じたことは何でしたか。

トルコとの対戦は、お互いに手の内を明かさない探り合いのゲームになったとはいえ、世界最終予選を前にして勝てたのはよかったです。チーム・ディフェンスがすごく出来てきているという手応えがありました。そこは、これからもっといいディフェンスが仕上がってくると思います。

――トルコは高さがあり、身体の幅もあるチームのようですが、その相手にチーム・ディフェンスが効いたということですか。

そうですね。ディフェンスが出来てきたというのはチームとしてまとまってきたことなので、さらにレベルアップしていくはずで、楽しみです。でも、オフェンスでミスが多いのは相変わらずで、そこをどう克服していくかです。特にパスミスが多いので、パッサーもレシーバーも、一人ひとりの意識の持ち方によってミスをなくしていくしかありません。この最終合宿でもそういうミスがまだありますから。

ウイングは、パスを出されたからには絶対にもらわないといけない。相手が厳しく守ってきたら、最悪、ファウルをもらえばいいことなので。パッサーはしっかり確認してからパスを出す。ポイントガードとして相手をどう崩していくかはガードの仕事だし、ウイングはしっかりミートアウトするのが仕事で、そこを助けるのがセンターの役割なので、一人ひとりがボールをもらって自分が攻めるという気持ちをもっと強く持っていかないといけないです。

「自分が攻めたいからパスをくれよ」というぐらいの強い気持ちで臨まないと。他の国はもっと強いし、スピードもあると思うので、そこは意識を高めていくしかないです。ガード陣もドライブを切っていく、ピックからのジャンプシュートの確率を上げるなど、各ポジションが自分の役割をしっかりやらないと簡単には勝てないと思います。

――ターンオーバーの多さは4月のアメリカ遠征から指摘されてきました。ミーティングでも話しているのですか。

ミーティングでも「しっかりスクリーンを使おう」とか「スクリーンをしっかりかけよう」「ミートアウトしよう」と話しています。私もポイントガードの立場から言わせてもらっているし、練習でも常に声をかけています。それでも出来ないのは、意識の問題だと思います。練習でミスが出るということは、試合でも当然出てくるので、練習からそういうミスを少なくする意識を持つことが大事になってきます。

このチームは、そういう1個のパスミスからミスが続いてどんどん崩れてしまいます。例えば1Qで誰かが1個ミスしたら、次のクォーターまで絶対にミスしない、それぐらいの意識を持ってやらないと締まったゲームにはなりません。ミスを少なくしてディフェンスを強め、それをオフェンスにつなげていくのが日本の強みだと思うので、それが出来ない限りはどこの国にも勝てません。もっと意識を高めていかないと……。

――ゲーム中、どれだけ集中力を高め、それを持続できるかですね。

そうですね。あとは変わらない課題ですが、リバウンドです。これもアメリカ遠征からずっと言われてきたことです。ボックスアウトの練習をやった後に5対5をしても、1回のボックスアウトミスで相手の得点につながってしまう。そういうミスはなくしていかないと。リバウンドが取れないと絶対に勝てないですから。小さいからやるべきことは多いですが、それをやっていかないとオリンピックには絶対に出られません。そうした細かいことをきっちりやっていくのが日本らしさだと思います。

「初戦のトルコが大事」と言っていますが、第2戦のプエルトリコも強いと思うので、油断すれば予選ラウンド敗退にもつながってしまいます。トルコに行くまでに120%のチームを完成させるぐらいの気持ちでいないとと感じています。

――課題であるリバウンドは、ボールを弾いてチーム・リバウンドに出来ればいい流れを作れますが、相手にボックスアウトされたままリバウンドにも飛び込めないと厳しくなってきますね。

5月のスロバキアとの親善試合でも、第2戦の代々木の試合はすごくいい入り方で、リバウンドも取れてすごくいい流れで終えることができました。でも、第3戦はスタートが悪く、試合には勝ちましたが、内容的にはすごく悪い試合でした。全員が悪い時にどうやって勝つのかと考えた時、流れを変えられるような選手に私はなりたいですし、ポイントガードとしてもそれが役割だと思っています。試合では悪い流れは絶対にくるので、それをいかに短くするかです。ミスが続いた時に自分がどう切り替えるか、どうみんなを切り替えさせるか、それもポイントガードとしての使命だと思うので、自分の課題として常に自覚しています。

ああいう試合(スロバキアとの第3戦)が世界最終予選の前で正直よかったです。誰がスタートになるかまだわかりませんが、個々が自覚をもってやっていかないと。代表候補20人から始まった中で、さらにその代表として5人がスタートで出る訳ですから、どの選手よりも責任とプライドを持ってやらなくては。途中から出た選手が1発目でミスをしたら、それが致命的になります。そこでいいプレイをすることが内海さんへのアピールにもつながるので、全員が自分の仕事をしっかりやっていかないとと思います。

BチームがAチームのアジャスト練習の相手になってくれたら、AはBの倍以上の点数を取っていくぐらいでないと。Bは自分たちのオフェンスとディフェンスの練習をやらずに相手になってくれている訳ですから、集中してやるべきことはしっかりやっていかないと。気持ちの持ちようで、いくらでも変わってくると思います。日本の良さは粘り強さであったりするので、そこは忘れずにやっていきたいですね。

――一人ひとりが真剣だと思いますが、より高い意識を持って集中していく、ということですね。

「これぐらいでいいや」と思うと、それだけのプレイしか出来ません。「これじゃだめだ、もっともっと」という気持ちをもたないと、チームも締まらないし、ステップアップしていかないと思います。対戦するのは、高さがあり、スピードがあり、パワーがあり、シュートの確率も高いチームですから、代表チーム内で同じぐらいの力で5対5をやっても十分とは言えません。

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