予選リーグ総括、準々決勝に向けて
自らを取り戻した日本。予選を突破し、その先の道へ

文・写真/三上 太

キャプテン大神はケガから復活。足を止めることなく、いかに走れるかカギとなる

ロンドン五輪出場の切符を賭けて、女子バスケットボール日本代表が世界最終予選を戦っている。12チームを4つのグループに分けて予選リーグをおこない、各グループの上位2チームが準々決勝に進出する。その予選リーグで日本は1勝1敗、グループAを2位の成績で決勝トーナメント進出を決めた。その予選リーグを総括的に振り返りながら、決勝トーナメントを展望する。
 

役割に徹することが勝利の大前提

 最悪のスタートだった。

 ヨーロッパ選手権(ロンドン五輪のヨーロッパ地区予選)2位で、世界最終予選の舞台にもなっている地元・トルコとの初戦は【49-65】で完敗。日本がプレイスタイルの根幹に置いているディフェンスは65失点とけっして悪いものではなかったが、49得点では勝負にならない。試合後、丁海鎰アシスタントコーチから「今までで最悪の出来で、このままだったら明日(第2戦のプエルトリコ戦)も負けるよ。日本に帰れないよ!」と雷が落ちたほどだ。

 なぜそんなことになったのか。原因の1つは役割の不徹底さにある。バスケットは、サッカーほどではないが、得点を取りに行くべき選手と、それをサポートする選手に大きく分けられる。もちろんコートに出ている5人すべてにシュートチャンスはあり、得点を取ることができる。それでもやはり主に得点を取るべき選手がゴールにアタックしなければ、得点は伸びない。

 たとえば、キャプテンでシューティングガードの大神雄子。彼女は2010年の世界選手権の得点王で、日本人には稀有な、1対1の駆け引きから得点を取れる選手だ。しかし所属チームのJXサンフラワーズでは攻撃の司令塔ともいうべきポイントガードを任されている。同じくJXでシューティングガードとして大神とコンビを組んでいる吉田亜沙美が日本代表ではポイントガードとなる。国内での戦い方と、国際舞台での戦い方の違いからポジションの交換を余儀なくされているわけだが、トルコ戦ではその大神がポイントガードのような働き――つまりはパス回しを優先してしまったのだ。大神自身もそれを認めている。

高さ対策とともに、ガード陣が前線から激しいプレッシャーをかけることも必要。写真は司令塔の吉田

「今日のゲームでは2対2の状況のときにパスから見てしまっていたように思います。ポイントガードと一緒にパスばかりを回しているとやっぱり点数が伸びなくなる。それでオフェンスの流れがよくなかったんじゃないかと思うので、まずは自分がどこのポジションをやっているのか、2対2のときでもパスではなく、強引にでも点数を取りに行くことをもう1度考えなければいけないと思っています」

 もちろん、この日に限らず、大神は相手国から執拗にマークされるだろう。それほどまでに世界は大神の得点能力を認めている。だが、その執拗なマークを嫌って、アタックする気持ちを忘れてしまったら、それこそ相手の術中にはまることになる。もちろん大神自身、それが十分にわかっているからこそ、2戦目のプエルトリコ戦では17得点を上げ、勝利に貢献しているのだが。

 大神だけではない。ベテランの矢野良子や田中利佳、藤原有沙、大庭久美子といった「シューター」と呼ばれる選手が踏ん切りよくシュートを打たなければ、やはり得点は伸びていかない。相手がシュートチェックをしてきたとしても、思い切って打たなければいけないときもあるのだ。それができなかったのが敗れたトルコ戦であり、できたのが勝ったプエルトリコ戦である。

高さある国に対してのオフェンスは日本の課題。センターの間宮は「ジャンプシュートとドライブの駆け引きの判断を良くしたい」と語る

 トルコ戦で得点が伸びないなか、ポイントガードの吉田は何とか状況を打開しようとドリブルでゴール近くに切り込み、ディフェンスが収縮してきたところでアウトサイドのシューターたちにパスを供給していた。しかしそのパスがシュートにつながらない。吉田は言う。

「シューターはシュートを打つのが仕事です。そのシューターがシュートを迷っている以上、シュートは絶対に入らないと思うので、もっと積極的に打っていいと思います。むしろ、3ポイントシューターと言われて試合に出ているわけですから、それを自分の役割として積極的にシュートに行かなければいけないと思います。ポイントガードとしては自分たちがドライブで切っていって、キックアウトしたボールは絶対に打ってほしいですね」

 むろん吉田はすべてのパスを打てと言っているのではない。ディフェンスの出足がよく、シュートチェックに来ているのもわかっているが、それでもリズムよく回ったパスは、そのリズムを壊すことなく、3ポイントシュートではなくても、シュートで終わらせてほしいというのだ。

「やっぱりシュートは打たなければ入らないと思います。それでも落ちたら、そこはセンター陣がリバウンドを取ってくれると信じてほしいし、それがチームだと思います」

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