林 慎一郎ヘッドコーチ インタビュー
武器であるオールコートバスケットで勝負。総力戦で戦いたい

文/舟山 緑  写真/小永吉陽子、一柳英男

 オランダ・アムステルダムで8月17日に開幕する「第2回FIBA U-17女子世界選手権大会」。U-17女子日本代表チームは8月13日に集合して軽く調整練習を行った後、翌14日にオランダへと出発した。

 出発直前に萩尾千尋(桜花学園2年)が東海地区の国体予選で左手をケガしたため、急遽、予備エントリーから森田菜奈枝(桜花学園2年)を招集する慌ただしさもあったが、無事にチームはオランダへと旅だった。

 大会は予選ラウンドで5戦を戦い、グループで上位4チームに入ることで決勝トーナメント進出が決まる。2010年に開催された第1回大会では、日本は堂々の5位入賞を果たしている。出発を前に、林ヘッドコーチキャプテンの畠中春香選手に大会への意気込みを聞いた。

■予選ラウンド
第1戦:8月17日 11:15 日本 対 ブラジル
第2戦:8月18日 19:00 日本 対 オランダ
第3戦:8月19日 14:30 日本 対 トルコ
第4戦:8月21日 16:45 日本 対 スペイン
第5戦:8月22日 21:15 日本 対 オーストラリア
 
◆U17女子メンバー表
◆大会特設サイト(日本バスケットボール協会)
◆大会公式サイト(FIBA)
 

「全員がエースになれ!」武器であるオールコートバスケットで勝負。総力戦で戦う日本

「アジア予選同様、全員で戦う」と林ヘッドコーチ

――メンバーは昨年12月、U-16アジア女子選手権で優勝したメンバーから2人が入れ替わった訳ですか。

ガードの酒井彩等(桜花学園)がヒザのケガのために加藤優希(桜花学園)を入れ、先日(8月12日)、萩尾千尋(桜花学園)が左手をケガしたという知らせを受けたので、急遽、予備エントリーから森田菜奈枝(桜花学園)を追加招集しました。それ以外は、昨年の優勝メンバーです。あれから8カ月が経ち、ウインターカップ、インハーハイを経て、選手個々の力は伸びてきているので楽しみです。

――スタートとして考えている5人は?

中村優花、畠中春香、馬瓜エブリン、山田愛、井澗絢音がスタートです。インサイドが機能しなかった場合は、中村、畠山、馬瓜を4番、5番で2人ずつ組ませ、外角は山田、永井菜摘、井澗、宮崎早織で回すつもりです。

――キーになる選手は誰ですか。

中村と馬瓜です。アジア予選でも通用した中村のパワープレイに期待しています。馬瓜は、桜花ではハイ・ロープレイが中心ですが、このチームではドライブインを積極的にやらせるつもりです。あとは外角の選手、山田、井澗、宮崎、永井、森田らのガード陣が頑張ってくれたらと思います。インサイドは畠中、中村、馬瓜を軸に、1年の赤穂さくらがどれだけヘルプしてくれるかです。インターハイではかなり走力と身体を当ててのプレイが出てきたので交代要員として期待しています。ワンポイントで1年の三木里紗を3番で使い、田中真美子を4番、5番で、加藤優希を4番で使っていくつもりです。とにかくアジア予選同様に全員で戦っていきます。

――総力戦で戦うのが日本の持ち味になっていますね。

ハッキリしているのは、エースがいないということ。前回大会(2010年)で5位になったチームには、長岡萌映子(札幌山の手高→富士通)と宮沢夕貴(金沢総合高→JX)というエースがいましたが、このチームにはエースがいません。だから「全員がエースになれ」と常々言っています。選手もそこはよくわかっています。それぞれが自分の持ち場を頑張って総力戦で戦うしかありません。

――大会は、予選ラウンドがグループAとBに分かれ、上位各4チームが決勝トーナメントに進めます。日本はグループBでブラジル、オランダ、トルコ、スペイン、オーストラリアと同組です。対戦チームをどのように見ていますか。

それぞれが強いと思います。大陸予選の映像を見たのですが、ブラジルがアメリカとずっと競っていました。トルコとオランダの試合も見ましたが、両チームともにかなり大型チームで、オランダはゾーンを、またトルコもゾーンプレスからゾーンをしいてかなり鍛えられている印象でした。

――オーストラリアはAISがありますから、当然鍛えられています。前回、日本はオーストラリアに3点差で勝利し、ロシアには6点差で勝って5位入賞を果たしました。今回もオーストラリアと対戦します。厳しい戦いになりそうですか。

オランダ、トルコを倒せば決勝ラウンドに上がれると思いますので、まずはこの2チームを倒すことをねらっています。サイズはオランダのほうが大きいのですが、トルコは3ガードで激しい動きをしてくるチームのようです。日本としては、アジア予選で勝因となったオールコートで勝負をするしかないと考えています。

――激しく当たるオールコート・ディフェンスを武器として戦う訳ですね。

大陸予選のビデオを見ると、アメリカはインサイド・バスケットとスクリーンを軸にしたプレイで、ヨーロッパ系はピック・プレイが主体です。日本はパス&ランとオールコートで走るバスケットがチーム・スタイルになります。後半、走り勝つようなバスケットができたらと思っています。10点ぐらいで相手にしぶとくついていき、最後に逆転して勝つ。そんなゲームを想定しています。オールコートで走り、速い展開から勝機を見いだすバスケットを目指しています。

――予選ラウンドは第1戦がブラジル、次いでオランダ、トルコとの対戦となります。予選リーグを戦う展望は?

予選ラウンドを抜けるには、2勝することが必須になります。特に最初の3戦が大事な試合になると思っています。後半のオーストラリアも大型チームですから、スピードで勝負するしかありません。

直前に全体練習を積む時間はなかったが、昨年のアジア予選をベースとしているメンバーなので、共通理解を持っているチームだ

――日本はロンドン・オリンピックには残念ながら出場できませんでした。今回、他の競技団体の活躍を見ていると、コツコツと強化を進めてきた競技が実を結んでいました。バスケットもアンダーカテゴリで「世界」の舞台で戦う経験は、将来に向けて大きなものになりますね。

本当にそうです。ヘッドコーチとしては、将来のためにここで「種をまいておきたい」と思っています。こういう大会に出場した選手の中から将来、オリンピック出場を目指す代表が出てくるはずです。選手が、「世界」の舞台に出てどう感じるかです。将来、日本がオリンピックへ出るためには、速い段階で「世界」を見て、実際に戦ってみることは非常に大きな体験になるはずです。

2010年のときの長岡たちも世界と戦って5位に入りました。その経験があるから国際大会に出ても物怖じしないでプレイができていると思います。アンダーカテゴリの段階で、世界と互角に戦った経験があるからでしょう。昔のように「〇〇は苦手だ」とかという感覚があまりなく、むしろ楽しんで相手に向かっていく姿を見たとき、非常に頼もしさを感じました。

今回のこのU-17世界選手権でも、全選手にいい経験をさせてやりたいなと考えています。総力戦でどこまで戦えるかですが、日本らしいバスケットで前回大会の5位を目指して頑張ってきたいと思います。
 
 
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