ベスト4にたどりついたからこそ見えた世界との距離
届かなかった「世界」と「アジアベスト4」から見えたもの

文・写真/小永吉陽子

チーム一丸となってチャレンジしたU18代表

アジア新時代を予感させた
U18世代、ウランバートルの戦い2012

■U18アジア選手権4位を検証■
作り出すべきは「経験の場」。受け継がれるべきは「チーム作りのプロセス」

 ロンドンオリンピックが終わった直後の8月下旬、モンゴルの首都ウランバートルにて、オリンピックでふるわなかったアジア勢が再スタートを切ったかのように、次世代を担うU18代表が躍動した。これまでも、2メートルを超える有望選手はアジアから輩出していたが、世界選手権の切符を獲得した中国、韓国、イランの3強が揃って動ける大型選手を擁し、ここまで僅差のバトルを繰り広げた大会は近年になかった。同様のハイレベルだった大会といえば、日本が2次リーグで中国に史上初の勝利を収めながらも、イランに一敗を喫しただけで5位になった2002年大会以来。あれから10年――。

 日本は3位決定戦でイランに4点差で敗れて4位。「アンダー世代から世界へ出る経験こそが必要」(佐藤久夫ヘッドコーチ)との考えのもとでチーム作りを進めていた日本だが、3位までが獲得する世界選手権にはあと一歩届かなかった。

 しかし、たった4点差ではあるが、その4点差は「大きな差」と佐藤ヘッドコーチが認めるように、大会中の成長だけでは埋まらない3強との溝だった。溝とはサイズとフィジカルの差からくる個人の技量差、勝負の進め方を含めたチーム作りの差、すべてに関してだ。

 勝負をかけた試合に敗れ、目標に到達できなかったことに対しては、現状を受け止め、足りなかった面を追求していかなくてはならない。だが今大会のベスト4は、現状の限られた強化時間と選手層の中で、やるべきことをやったうえでたどりついた4位であったことも評価しなければならない。

 U18代表のコーチングスタッフは、目標を定めてチーム作りと選手育成を行い、勝負する土俵に上がるまでのプロセスをしっかりと踏みしめてきた。それゆえに達したベスト4であり、戦う土俵に上がったうえで敗れた4位だった。アジアの4位になることがA代表では難しくなっている今、まずは勝負する土俵(準決勝進出)に上がったプロセスを強化のベースとして引き継ぎ、そのうえで、目標(3位)に対しての結果(4位)について、足りなかった面や修正すべきことを上積みしていくことが大切なのではないだろうか。

 ウランバートルで躍動したライバルたちが、アジアを席巻する日は近い将来やってくるだろう。そんな強敵と戦った日本は、戦うひたむきな心を持ち、今大会でいちばん成長したチームだった。しかし、いちばん大切な要素を持っていても、それだけでは世界への扉を開けることができないことも実感した。今後は、戦う土俵に上がったからこそ得た“生きたデータ”を未来へとつなげていくことが求められる。
 
 
【ページ2】■今大会の背景■――ハイレベルな大会。双璧の中韓、フィジカルに強いイランが世界選手権出場
【ページ3】■日本の戦いぶり■――成長ならば大会ナンバーワン
【ページ4】■日本のチーム作りのコンセプト■――力強さと対応力を求める中で“速さ”をどこで生かすか
【ページ5】■3決に見る今後の課題■――足りない経験とフィジカルさの克服。そして受け継がれるべきもの
 
◆U18男子代表メンバー
◆大会順位&MVP・ベスト5
◆大会特設サイト(日本バスケットボール協会)
◆大会公式サイト(FIBA ASIA)
 
  

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