鈴木貴美一ヘッドコーチが抱負を語る
目標はベスト4。若手を積極起用し、大型ガードで勝負

インタビュー・文/舟山 緑  写真/小永吉陽子

ベスト4に入ることと、若手の育成が今大会の目標。ジョーンズカップで若手に指示を与える鈴木貴美一ヘッドコーチ

6月に召集した代表候補メンバーから、ガードの石崎巧(ケムニッツ99)が今季もドイツリーグでプレイするために8月に代表チームから離脱した。また、張本天傑(青山学院大3年)は、チーム登録において帰化選手枠は1人ということで、桜木ジェイアールの加入によって最終メンバーから外れることになった。さらに竹内譲次が8月に台北市で開催されたジョーンズカップで足首を痛めたために、戦列を離脱。代わりに橋本晃佑(東海大1年)が加入することになったが、橋本もまた直前にケガということで、永吉佑也(青山学院大3年)が大会前日に急遽エントリー変更された。

鈴木貴美一ヘッドコーチが現在、どんなチーム作りを構想しているのか、その手応えとともにアジアカップへの意気込みを、大会目前の合宿で語ってもらった。(取材日/9月9日)

◆5月9日、日本代表新体制会見
(日本代表強化部・鈴木貴美一HC、トーステン・ロイブル アソシエイトHC

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「大型ガードを育て、若手の積極起用で、
自信をつける大会にしたい」――鈴木貴美一ヘッドコーチ

ジョーンズカップで若手選手が成長。1番にコンバートした比江島に大きな手応え

ガードの大型化を図り、若手を積極起用している鈴木貴美一ヘッドコーチ

――大会直前となりました。ケガ人も出て若干、メンバー変更がありましたが、今大会のチーム構成のポイントは。

予定外だったのは、スタートに考えていた張本天傑君と竹内譲次君、石崎巧君の3人がプレイできなくなったことです(※理由は上記の前文参照)。8月のジョーズカップでは、若い選手を起用しながらいろいろ試してきました。そこで強いところと弱いところが見えてきました。帰国後の合宿ではその課題に取り組み、だいぶ修正ができてきました。3人抜けたのは残念ですが、そこは他の選手が補ってくれると思います。

――8月のジョーンズカップでは8試合の実戦を積んできました。そこでの収穫は何でしたか。

私自身は2回目の参加でしたが、「日本はそんなに悪くないな」というのが率直な感想です。アメリカ選抜チームにはNBA経験者もいましたが、大きくてマイナー・リーグでやっているセレクションチームだったので少し雑なチームでした。リバウンドは強いけれど、あまりいいチームとは言えませんでした。韓国はKBLで優勝した単独チーム。アメリカ人が2人いました。レバノン、ヨルダン、フィリピン、イランに対しては、若いメンバーを使いながらも勝負したいなと臨みました。

――アジアカップで戦うイラン、レバノンも出場していました。どんなチームでしたか。

イランだけは帰化選手もいなく純血で、図抜けていました。他のチームは帰化選手がいなければ弱いチームだなと感じました。レバノンは198㎝のセンターが不在でした。身体がある分、リバウンドは強いけれど、バスケット自体はあまりきちっとしている印象はなかったです。イランはその点、きちっと鍛えられてしていました。どちらも100%ナショナルメンバーではなかったと思いますが。日本がしっかりチームを作っていけば勝負出来ると感じました。

ジョーンズカップでの一番の収穫は、比江島のポイントガードに手応えを感じたこと。状況判断とパスセンスが光った

――具体的にはどんな手応えを感じましたか。

いちばんは、若い選手がゲームをやるたびに伸びてきたことです。アジアでは、日本はガードが弱く、海外のガードとマッチアップするとミスマッチがおきます。海外のガードは常に攻め気があり、得点力があります。日本はこれまで小さくて上手いガードを起用して、どうしても走るバスケットを主流にして、外角を狙うバスケットを展開してきました。私自身、それが昔から嫌だったので、このチームでは石崎君(188㎝)、桜井良太君(レバンガ北海道、194㎝)、学生の比江島慎君(青山学院大4年、190㎝)という大型ガードでチームを作りたいと構想してきました。

1番の選手は、U-18 の段階からビッグガードを育てていく教育をしていかないと、というのが持論です。日本は、そこがやはり甘いと思います。あまりコンバートをしません。今回、私はこのチームで比江島君を1番にコンバートしました。彼はシュート力のある2番ですが、パス能力もあり、割って入っていく力があるので、絶対、代表の1番に向いていると思ったからです。

170台や180台のガードでは、海外に行ったときにパスが通りません。アメリカにいる選手で両手でダンクができるとか、リーチが長い選手ならばまた別ですが……。スキルがない、運動能力がない、そして小さいガードでは、ただ参加しているだけのバスケットになってしまう。そこを改善していきたいと思っていました。今回、1番として比江島君をジョーンズカップで投入してみたら、大きい相手に通用しました。渡邊裕規君(パナソニック)は2試合ぐらいできましたが、パスが通らなかった。今年、私がねらいとしていたのは大型ガードにするという構想で、それがうまくいきました。

ディフェンスとドライブからの展開でチームをリードする桜井良太。若いチームのキャプテンを務めることでリーダーシップも求められる

――大型ガードでのチーム作りに非常に手応えを感じている訳ですね。

そうですね。キャプテンの桜井君も割って入るシーンがありましたが、彼はタイプとしてはディフェンスを頑張るガードです。相手が195㎝のガードでもマッチアップができます。ゲームメイクの面ではまだ経験が足りないですが、細いけれどフィジカルな強さはあります。

ジョーンズカップでは、比江島君が状況によっては一番よかったりしました。まだ1番の経験がないのでそこは今後の課題ですが……。韓国戦はアメリカ人が交互に出てきましたのであまり参考にはなりませんが、若い選手には「思い切りいけ」とやらせました。あとは最後のゲームだけはしっかり指示して、コントロールして、ブレークを出させるときは出させなど全部指示してゲームをうまくまとめて戦ってきました。

――他の若手選手の出来はどうでしたか。

橋本晃佑君(東海大1年、203㎝)も良かったです。橋本君は竹内譲次選手の代わりに入れましたが、このままいけば日本のエースになれると思います。1つはシュートがうまい。それに合わせが上手いです。たとえばドリブルからサイドの選手に合わせるとか、相手がカバーにきたら自分が上に上がって合わせるとか。それは教えることもできますが、誰もいないところにズレてボールをもらってシュートを狙うというのは、生まれ持った感覚的なものです。それは、学生の中では群を抜いていました。今は4番ですが、将来は3番で起用していきたい選手です。

これまでのようにチビッコ軍団で体力勝負していくのでは、日本の将来はないと思っています。だから、コンバートして大型ガードを育てていきたいのです。高さの部分で負けなければ、パスは通りますから。比江島君は、上からのロングパスも、下のパスもできます。これは佐古と同じです。ディフェンスもできます。2番だったら普通の選手になってしまうので、1番として育てていきたいのです。

――他のポジションの選手はどうでしたか。

インサイドが弱いのは身体がないだけで、勝負どころで相手のパワーに押されてボールを取られるのはよくあります。ただ今回は、竹内公輔君(トヨタ自動車)はアメリカ人の黒人相手でも焦るぐらいインサイドで攻めていました。シューターでは、古川孝敏君(アイシン)がバカ当たりしたり、金丸晃輔君(パナソニック)や田中大貴君(東海大)もいいところを見せてくれました。なので、あとはガードだなと思いました。

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