一色建志ヘッドコーチ インタビュー
スピードと外角、激しいディフェンスで勝負!

文・写真/舟山 緑   写真/一柳英男

 FIBAアジアU-18女子選手権が9月29日に開幕した。この大会は来年7月、リトアニアで開催される「FIBA U-19女子世界選手権」へと続く大会となり、上位3チームが世界大会への出場権を得る。

 この大会へ挑むのは、一色建志先生(聖カタリナ女子高)をヘッドコーチとするU-18女子日本代表チーム。代表候補20名から最終メンバー12名が選出され、9月20日に発表された。メンバーは、Wリーグからは松本咲(三菱電機)が唯一入り、大学生は藤岡麻菜美(筑波大)ら3名、それに高校生8名の精鋭が選ばれた。
 
 チームは、昨年度から代表候補メンバーでカナダ遠征をこなし、3月には来日したオーストラリアのAISチームと練習試合などを行って強化を図り、5月、6月と合宿を重ねてきた。8月はインターハイや国体地区予選などがあったために合宿を見送り、9月に2回の強化合宿を実施して最終調整を図り、9月26日、マレーシアへと出発した。

 レベルⅠである日本は、予選ラウンドで7チームによる総当たり戦を行い、その上位4チームで準決勝を戦う。日本の初戦は韓国戦。次いでチャイニーズ・タイペイ、中国と立て続けに、予選ラウンドでアジア4強が激突する。日本にとっては気が抜けない3連戦となる。

 チームの目標は、来年のU-19女子世界選手権への切符(3カ国)を手中にすることだ。出発直前に一色建志ヘッドコーチとキャプテンの藤岡麻菜美、そしてインサイドの要である河村美幸、得点力が期待される増岡加奈子の3選手に、大会への意気込みを聞いた。
 
◆予選ラウンド
9月29日(土) 18:00 韓国 vs 日本
9月30日(日) 21:00 日本 vs チャイニーズ・タイペイ
10月1日(月) 21:00 日本 vs 中国
10月2日(火) 17:00 タイ vs 日本
10月3日(水) 19:00 日本 vs マレーシア   
10月4日(木) 休息日
◆決勝トーナメント
10月5日(金) 準決勝
10月6日(土) 3位決定戦、決勝
 
◆メンバー表
◆大会特設サイト(FIBA ASIA/英語)
◆大会特設サイト(日本協会)

 
 

一色建志ヘッドコーチ インタビュー
世界選手権への出場権をしっかり獲得したい。全員バスケットで勝負!

桜花学園をインターハイ制覇に導いた大黒柱。インサイドで確実性がある河村美幸

――9月の第3次合宿、第4次合宿では、どんな点を最終調整したのですか。

オフェンスもディフェンスも以前から練習してきたことの確認です。代表メンバーはU-17チームから3名が加わって少し入れ替わりましたから、特にオフェンスの約束事を共有するためです。ディフェンスは、練習試合やスクリメージをしながら仕上げていきたいと思っています。

――代表メンバー12名はどんな基準で選んだのですか。また、カギを握る選手は誰になりますか。

この時期は、国体があり、また大学リーグの最中です。その中でベストなメンバーを選んだと思います。カギとなるのは全員です。ゲームを戦う中でプレイングタイムの長い短いは出てきますが、全員で頑張らないといけないチームです。キャプテンは藤岡にしました。2010年のU-17アジア選手権に参加している唯一のメンバーですから適任と考えました。

――今回は高校生8名に、実業団と大学生の早生まれメンバーが4名入っています。松本咲選手(三菱電機)、藤岡麻菜美選手(筑波大)、早坂彰恵選手(筑波大)、北村悠貴選手(大阪人間科学大)です。この4名の存在は大きいですか。

3月の強化合宿で集合したときはオフシーンだったのであまりいい動きではありませんでしたが、6月の合宿ではだいぶよくなってきました。その後、それぞれの所属チームで夏合宿をこなして鍛えられ、学生はリーグ戦も始まっています。どの選手も身体のキレがよくなっており、シュート力も上がってきました。非常に期待しています。

――高校生メンバーはどうですか。

インターハイも国体予選も終えて、多少疲れがあるでしょうが、身体のキレがあるので心配はしていません。ウインターカップの県予選が終わって合流したメンバーもいます。軽いネンザをした選手はいますが、大きなケガをした選手がいないので大丈夫だと思います。

――今回は8月のU-17女子世界選手権で4位に入ったメンバー3名が加わりました。世界の舞台で戦ってきたメンバーだけに期待大ですね。

中村優花選手(柴田女高)、畠中春香選手(大阪薫英女学院高)の2人は、早生まれだったのでU-17チームにも選抜されましたが、高3ですからぜひ入れたかったメンバーです。宮崎早織(聖カタリナ女)だけ2年生ですが、オランダでのU-17世界選手権でも流れを変えられる選手として活躍してきました。そこを買ってメンバーに入れました。

――どんなチームスタイルで勝負しようと考えていますか。

そこが日本の課題でもあるのですが、やはり走ってスピードと外角、激しいディフェンスで勝負だと考えています。それをやれるメンバーとして今回の12人を選びました。U-17世界選手権では、中村選手が、馬瓜エブリン選手(桜花学園2年)とともによかったと聞いていますので、期待しています。リバウンドでは大きい選手をいかにディフェンスするかが課題になるので、河村美幸選手(桜花学園)に頑張ってほしいです。

――初戦が韓国との対戦で、チャイニーズ・タイペイ、中国戦と続きます。強豪との3連戦です。今回は、アジア4強が序盤で当たるという珍しい予選ラウンドになります。ライバル国への作戦は?

詳細はまだ分かりません。中国とももちろん勝負をしますが、まずは韓国、チャイニーズ・タイペイに負けないようにという強い気持ちでいます。初戦の韓国はゾーンでくることが予想されます。各国の特徴をある程度考えて作戦を練り、あとは現地で微調整をするつもりです。

1対1に強いオールラウンダーの増岡加奈子

――ディフェンスから速い展開で外角で勝負するという日本のスタイルに、ライバル国もアジャストしてくると思われます。そこはどう考えていますか。

8月のオリンピックでは、アメリカチームもこれまでと比べると外角シュートが多く、世界のバスケットがそうなってきているのかなと感じました。日本も外角を武器にしながら、その中で激しくフルタイム、ディフェンスで当たってやりきるだけです。あとはボディコンタクトへの慣れは、現地に行ってもすぐに出来るものではありません。所属チームの指導者が、そこは自覚して選手を育ててくれていると思っています。選手が相手の当たりの強さにひるまずに戦ってくれたらと期待しています。

――今回、初めて国際大会に臨む選手も半数います。その点での不安材料は?

今年1月にカナダへ遠征して試合を経験してきました。国際部隊での経験は少ないですが、そんなに心配はしていません。また、今回は開催地がマレーシアですから環境も悪くなく、心配はないと思います。

2大会前(2008年、インドネシア開催)で日本が優勝し、星沢先生(前金沢総合高監督)と2期、一緒にスタッフをやらしてもらいました。以前の選手たちと比べると、今の選手たちは「相手が中国だから」「韓国だから……」と変に意識はしていないですね。今のナショナルメンバーは「中国が……」「韓国が……」と言うかもしれませんが、下の世代の選手たちは「勝ちたい!」という気持ちがすごく強い。今どきの子どもたちというのか、怖いもの知らずな面があって、そこは頼もしい感じがします。

――確かにこのところ、アンダー世代は中国や韓国に勝利しています。苦手意識は薄いようですね。それと同時に、日本の選手のアジャストする能力が高いということも言えるのでしょうか。

そうですね。意外と外国チームは、ガードがボールを運ぶときに右ドリブルが多かったり、ピックはこの選手とこの選手のパターンという決まり事が多い気がします。海外でよく聞かれるのは、「日本は約束事もなく、フリーランスに動いてどうしてシュートが打てるのか」ということです。私はそれが日本のよさだと思います。

これは私なりの考えですが、しっかりしたベースがあり、そこに枝葉がつく。プラスアルファはいっぱいあってもいいと思っています。それを変に型にはめるのはナンセンスだと思うのです。自由の中に決め事があり、決め事の中に自由があり、選択があるほうがいいと思ってチームを作っています。

――最後に、今大会の目標を聞かせてください。

世界選手権への出場権を確実に取ることです。U-16大会は2チームでしたが、今回の出場枠は3チーム。初戦の韓国戦でいい戦いをして勝利し、波に乗っていきたいです。
  
  
◆次ページでは藤岡麻菜美、河村美幸、増岡加奈子選手のインタビュー
  

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