女子優勝――大阪体育大 インタビュー
信じた「自分たちのディフェンス」で頂点をつかんだ大阪体育大

インタビュー&文/舟山 緑  写真/一柳英男

女子優勝チーム 大阪体育大  #10奥原左智&#11唐津亜耶 インタビュー

大阪体育大は#4清水池、#6金本、#8落合、#10奥原、#11唐津、#15出水田を主力として戦った

インカレ2012で5年ぶり2度目の優勝を遂げた大阪体育大。
相手の得意なプレーを封じ込んだタイトなチーム・ディフェンスが光ったが、
早稲田に再三詰め寄られても、アグレッシブに攻め込んだオフェンスもまた粘り強かった。
後半、苦しい場面で強気のプレーでチームを牽引したのは、得点源の#10奥原左智と#11唐津亜耶だった。
奥原は、持ち前のスピードと高い身体能力を生かして、
3ポイント4本を含む27得点とチームハイを記録し、大会MVPに輝いた。
また、オールラウンダーの唐津も13得点、10リバウンドと粘り強いプレーでチームに貢献した。
奥原と唐津の2人に、早稲田大に競り勝った決勝戦を振り返ってもらった。
 
◆女子大会結果と個人賞
◆女子決勝レポート 大阪体育大vs早稲田大
  
 
  
「決勝では『絶対に決めてやる!』と
思いながらプレーしていました」

奥原左智
(OKUHARA, Sachi/大阪体育大#10/3年/169㎝/SF/徳島:富岡東高出身)

勝負所で得点を決めてチームを勢いづかせた奥原。チームを優勝に導いたエースは大会MVPを受賞

「自分たちのディフェンスをやれば
絶対に負けないと思って戦っていました」

――MVP受賞、おめでとうございます。今の気持ちは?

まさか自分がMVPを受賞できるとは……うれしいです。試合中は「絶対に自分がチームを引っ張っていくんだ」とか、「絶対に決めてやる!」と思いながらプレーしていました。それが結果として出せたのはうれしいです。

――決勝を振り返って勝因は? 

ディフェンスからのチームという持ち味が、出だしから出せました。点が取れない時間帯でもしっかりディフェンスで粘り切れたところが、勝因になったと思います。それは中大路先生からもずっと言われていたことで、苦しい時間帯に全員でディフェンスとリバウンドを頑張れました。最後は疲れもあったし焦りも出てきましたが、「勝ちたい」という気持ちを全員がもってやれたことが勝因だと思います。

――自分の出来はどうでしたか。

個人的には一番点を取らないといけないというプレッシャーがありましたが、シュートを外しても周りが取ってくれるという信頼もあり、私自身は思い切りプレーができました。

――前半はあまりシュートが入っていませんでした。焦りはなかったですか。

そうですね。前半は入らなかったですが、後半すぐに3ポイントが入ったので、それで自分でも乗っていけました。最後はいいところでジャンプショットを決めることができ、よかったです。

――序盤からチーム・ディフェンスが効いて、強い気持ちが出ていました。

ずっと「絶対に負けない」という気持ちを持ち続けました。能力では差があるので、気持ちだけは負けないと思ってプレーしていました。向こうはエリート揃いですが、自分たちは強いディフェンスを持っているので、そこは絶対に負けていないと思っていたので、それをやり切れればと信じていました。それが結果として出せたと思います。

――1試合を通して厳しいプレッシャー・ディフェンスでした。後半、体力の不安はなかったですか。

途中、何度かしんどい部分はありましたが、先生がメンバー交代でベンチに下げてくれます。少し休んでからまたコートに戻るので、それで体力は回復していたので不安はなかったです。1試合を通して走り切れたと思います。

――今大会、転機になった試合はありましたか。

1回戦はよくなかったです。相手に対して少し構えてしまっていて、ディフェンスも自分たちがやらなくてはいけないことが出来ていなく、先生からも怒られました。自分たちでもミーティングで「こんなことをしていたら日本一になれない」と、話し合いました。そのことが自分たちを集中させたと思います。その後の2回戦の試合では自分たちのディフェンスが出来て、そこからはいい流れで準決勝、決勝へと進めました。

――早稲田に対して特に気をつけたことは?

相手センターの#8丹羽さんが1対1に強いので、ローポストにボールが入ったら、しっかりダブルチームをして、その後はローテーションすることを意志統一していました。また、高さがあるのでリバウンドも強いですから、ボックスアウトを徹底することです。ディフェンスを粘ってリバウンドを取り、そこからブレイクすることをチーム全員で考えていました。

――奥原選手は関西リーグの得点王です。早稲田も当然、対策を練ってきます。そうした中で気をつけたこととは?

普通にボールをもらっての1対1では負けてしまうので、フェイクをかけて動いて相手をズラすことです。ボールをもらいざまにドライブをするのは結構通用するので、ボールをもらう前の工夫はかなりしていました。それは先生からも言われていたので、自分でも分かっていますから、そこは意識して攻めました。早稲田とは春に練習試合を何試合かやっていて、自分のプレーが結構知られていたので、ドライブをすると2人ぐらい寄ってきます。なので、決勝では私がドライブしてセンターに合わせてパスをさばけた部分はよかったかなと思います。

――立ち上がりから主導権を握って大きなリードを奪いました。しかし、後半に入ると早稲田がだんだん詰めてきて、残り3分では3点差に。あの場面では、どんな気持ちでしたか。

ここで一回、落ち着こうと思いました。点差は詰められていましたが、自分の中では「大丈夫」だという気持ちがありました。自分たちがたとえ点を取れなくても、ディフェンスを頑張って相手に取らせなければ大丈夫なんだと。だから、もう一回、ディフェンスを集中して、そこからブレイクを出したら「行ける」と思っていました。点差は詰められていましたが、そんなに焦りはなかったです。

――最後の勝負所で早稲田はエースの丹羽選手の連続ゴールで加点し、さらに残り32秒では#15本橋選手の3ポイントで2点差になりました。そこからのスローインがルーズボールになり、ボールを奪われました。残り18秒、丹羽選手が勝負にきたのを凌いだのが大きかったですね。

あそこは丹羽さんで攻めてくると思っていたので、ダブルチームで守ろうと思っていました。でも、実は反応できていないんです。丹羽さんが少し外でボールを受けて打ってきましたから、ダブルチームが間に合わなくなっていました。でも、シュートが落ちてくれたから助かりました(笑)。うちのセンターが丹羽さんを押し出してくれたから落ちたんじゃないかなと思います。

――終盤、点差を詰められても、そのたびに3ポイントやジャンプショットで相手を突き放していきました。特に第4Qでは、思い切りのいいプレーでゴールに向かっていく姿勢が光りました。あそこでは思い通りできましたか。

相手に詰められてもそこで逃げたら絶対にシュートが入らないと思ったので、今までやってきた通り、思い切りプレーするだけだと思っていました。ゴチャゴチャと余計なことを考えるのではなく、普段通りのリズムでシュートを打ったら入りました(笑)。
 
 
「自分が成長できるところ」として選んだ大体大への進学

細かいところを突き詰め、ディフェンスでの当たりの強さを求めてチームを作った中大路監督

――中大路監督は、「春から1歩前に出るディフェンスに取り組んできた」と言っていました。それが実を結んだという実感はありますか。

はい。このディフェンスは本当にしんどく、練習ではいつも厳しいところを指摘されるので、辛いことがいっぱいでした。ちょっとでも簡単に相手にボールを持たせてしまうと、中大路先生の笛がピッと鳴って、「なんで、持たせるんだ!」と怒られる。本当に細かいことを先生が見逃さず、必ず指摘されました。でも、それがあったからこそ、試合中でも自分たちのディフェンスがしっかりできたと思います。辛いことはいっぱいありましたが、それが結果として出せたので本当にうれしいです。

――先生の目はいつも厳しく、手が抜けない練習ということですね。

はい、練習ではずっと集中が要求されます。それはディフェンスだけでなく、オフェンスでも同じです。中大路先生のバスケットは、細かなところもきっちり集中してやるバスケットですから。

――大体大は5年前にインカレで初優勝しています。先輩方の優勝は意識しましたか?

インカレに臨むにあたって、5年前に優勝した試合のビデオを見たのですが、ディフェンスがすごかったので、「自分たちもディフェンスをしっかりやれば勝てるんだ」と強く思いました。先生もそう言ってくれましたし、「それを信じて行こう」とチーム全員で確認してこのインカレに入りました。

――奥原選手にとっては、人生で初めての全国優勝ですよね。

はい。高校時代は、インターハイでベスト16が最高でしたから、初めての優勝です。

――大体大に入るときに描いていた目標はどんなことでしたか。

高校(富岡東高)の木下博順先生から「おまえには大体大のスタイルに合っている。入学したら絶対に伸びるから」と勧めてもらいました。最初は「うーん」と思ってピンとこなかったのですが、練習を見学してその言葉に納得しました。私はどちらかというとトリッキーなプレースタイルなので、それでは大学で通用しないと思っていました。大体大の練習を見て、「自分に足りないものがここにある。ここなら自分が成長できるかもしれない」と強く思い、進学を決めました。大体大のバスケットはオフェンスもディフェンスもきっちりしていましたから、ここなら自分を鍛えてもらえると思ったんです。それと、私が高校1年生のときに(2009年)大体大はインカレで優勝していて強かったので、それで入学を決めました。

――その決断は正しかったことになりますね。

はい。本当に自分は伸びたと感じています。入学を勧めてくれた高校の先生にはとても感謝しています。

――トリッキーだという自分のプレーの修正を、この2年半の間にやってきたということですか。

はい、中大路先生にメッチャ怒られながらです(笑)。「ここではそういうプレーはするな!」「ここはちゃんとピボットを踏め!」など、ずっと厳しく言われてきました。私が出来ないプレーを先生はちゃんとわかってくれていたので、そこを徹底して指導してもらいました。今は、そうしたプレーが出来るようになってきました。

――この2年半でオフェンスはプレーの幅が随分と広がってきた訳ですね。

はい、すごく広がったと思います。

――ディフェンス力はどうですか。

ディフェンスはまだまだです(苦笑)。チームディフェンスとして出来ているように見えるかもしれませんが、私のディフェンス力はまだまだです。そこはみんなに助けてもらっています。

――今後の課題と目標を聞かせてください。

日本一になったのはうれしいですが、自分たちは能力がない分、ディフェンスを強化してきたからこそ勝てたと思います。余裕は全くありません。だから、ここで構えるのではなく、常に挑戦者のつもりでこれからも頑張っていきたいと思います。インカレ優勝は出来ましたが、まだ実業団に勝つことは達成できていません。このインカレで見えてきた課題をさらに練習して、オールジャパンでは実業団に勝つプレーをしたいと思います。
 
 

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