優勝はウリ銀行、JX-ENEOSは準優勝
アジア強豪クラブとの戦いで見えたJXの課題

文/舟山 緑  写真/細田季里

「インサイド陣が抑えられた時にいかに外角で得点できるか」
アジアの強豪との戦いで見えたJX-ENEOSの課題

スピードが注目された司令塔の吉田。インサイドが機能しないときのチームとしての得点の取り方が課題となった

日本、中国、韓国、チャイニーズ・タイペイの4カ国の女子クラブチャンピオンが参加した
「2013 アジアW-Championship(アジア女子クラブ選手権)」。
日本からはWリーグ5連覇のJX-ENEOSが出場した。
大会は4チーム1回戦の総当たり。JXは最終日に韓国のウリ銀行と全勝対決。
渡嘉敷、間宮のインサイドが徹底して封じられ、外角が当たらずに62対66と惜敗した。
この結果、ウリ銀行が初代チャンピオンとなり、JXは準優勝に終わった。
国内では強力なインサイド陣を武器に5連覇を遂げたJXだが、
若いチームで挑んだこの国際舞台では、高さやフィジカルの強さ、試合運びの巧さをもつ相手に
自分たちの強みも弱点もハッキリと見えてきた大会となった。
 
 
◆大会結果&個人賞&JX-ENEOSコメント
 
 
高さの中国・遼寧に延長の末に競り勝つ
威力を発揮したプレッシャー・ディフェンスからの速攻

中も外もできる193㎝のチェン・シャオリー(遼寧、ロンドン五輪中国代表)とマッチアップした間宮

 JX-ENEOSは、初戦の國泰人壽(チャイニーズ・タイペイ)戦、2戦目の遼寧衝業(中国)戦と連勝した。プレッシャー・ディフェンスで相手ミスを誘い、走る展開に持ち込んだのが勝因となった。ただし、この2戦、試合の内容は対照的な内容だった。

 初戦の國泰人壽戦は、渡嘉敷、間宮がインサイドで着実に加点。大神、吉田のガード陣の機動力あるプレーもからんで、3Q半ばから一気に國泰人壽を突き放す。甘いパスを再三、カットされる場面もあったが、チームが得意とするプレッシャー・ディフェンスから主導権を握って勝負を決めた。渡嘉敷は、28得点、17リバウンドをマーク。後半、國泰人壽が単調な攻めになったのも味方して、渡嘉敷がリバウンドを支配。JXが高さとスピードという持ち味を生かした一戦となった。

 2戦目の遼寧衝業戦は、一転してセンター陣がファウルトラブルに苦しんだ。代わって奮闘したのが大神、吉田のガード陣と、高橋、木林のフォワード陣だった。相手は、ガードが178㎝、フォワード183、184㎝ 、センターが190、193㎝という布陣。JXは、岡本(160㎝)に代えて木林(184㎝)をスタートに起用し、大神が2番となって吉田-大神のガードコンビでこの一戦に臨んだ。

 開始早々、渡嘉敷がファウル2でベンチに下がり、さらに2Q残り3分を切って4ファウル。間宮も2Q早々に3つ目と、インサイド陣にファウルがかさむ苦しい展開。相手のフィジカルの強さと高さの前に4Q 2分過ぎには11点のビハインドを背負っていた。しかし、ここから渡嘉敷、吉田、大神らで連続6ゴールを奪って一気に逆転。バテが目立つ遼寧も高さを生かして反撃してきた。ともに譲らず、勝負は延長戦へともつれこむ。

 延長は、JXがディフェンスの手を緩めずにプレッシャーをかけて相手のミスを誘い、大神の速攻からのバスカンと吉田のドライブからのこぼれ玉を間宮がねじ込んで78対73。高さとパワーで上回る遼寧の猛追をかわして貴重な勝利をあげた。

 国内では、渡嘉敷-間宮という強力なインサイドを軸に勝利を重ねてきたJXが、この遼寧戦は、外角のプレーヤーがアグレッシブにゴールを狙って勝利を呼び込むという展開となった。遼寧は1月末にシーズンが終わってオフに入り、大会の1カ月前から調整してきたとはいえ、あきらかに体力不足は否めなかった。センターにボールが入ったときのパワープレイは流石だったが、JXがリバウンドやスチールから速攻に走ったのを止めることができず、JXはそこから流れを引き寄せていった。高さのある遼寧に「走るバスケット」が出来たのは収穫であった。

 スピードあるドライブインでチームを奮い立たせた吉田は「自分が突破口となればみんながついてくると思った。あそこで1本プッシュしてドライブを決めたのが大きかった」と語り、「中国チームに勝てたことは大きな自信につながる」と、価値ある勝利に笑顔を見せた。

 この一戦で大神は20得点、吉田17得点。間宮14、高橋11、木林8、渡嘉敷6得点。渡嘉敷は相手の高さとフィジカルの強さの前に得点が伸びなかったが、後半は延長までファウルアウトせずに踏ん張り、リバウンド17本をもぎとった。
 
 
試合巧者・韓国ウリ銀行に惜敗
渡嘉敷のインサイドがWチームで封じられ、高さを生かせず

確率の高いミドルシュート、隙あらばのドライブインと、駆け引きからの得点力が際立ったイム・ヨンヒ(ウリ銀行)。大会MVPを獲得

 最終日はJXと韓国・ウリ銀行との全勝対決となった。JXは立ち上がり、強い当たりから走る展開に持ち込んで大神、吉田で得点するが、チェンジング・ディフェンスを敷く相手ゾーンが攻略できない。インサイドの間宮、渡嘉敷らにボールがなかなか入らず、外角シュートも決まらない。対するウリ銀行は、フィジカルの強さを生かしてセンター陣がポストプレーで加点。#1ヤン・ジヒの確率のいいジャンプショットが効いていた。

 後半、インサイドを固めたディフェンスの前にJXは外角シュートを狙うも、これがなかなか決まらない。4Q開始早々には11点差に。この苦しい場面で果敢な攻めを見せたのは吉田と大神だった。さらに高橋のドライブや吉田のミドルショットで追い上げ、残り1分33秒、渡嘉敷がゴー下に飛び込んで3点差とする。しかし、この後の追撃で決めきれず、試合巧者ウリィお逃げ切りを許してしまった。

 JXは渡嘉敷の高さを生かしたかったが、ペイント内でWチームで厳しく守られてしまう。#11イム・ヨンヒと#3ペ・ヘユンの2人が、見事な連携で渡嘉敷を封じ込んだのだ。ウリ銀行のウィ・ソンオヘッドコーチは「国内リーグで外国人センターを守っている経験が生きた」と語った。

 吉田は3ポイント4本を含む21得点と気を吐いたが、チーム全体で外角シュートの確率が悪すぎた。渡嘉敷12、間宮10、大神13得点。

 優勝を遂げたウリ銀行は、前の2試合では3ポイントがよく決まっていたが、このJX戦では1本のみ。3連戦の疲れを考慮して無理に3ポイントを狙わずにドライブや2対2からのミドルショットで確実に加点する巧さが光っていた。前日まで目立たなかった#1ヤン・ジヒが20得点。前半、シュートが落ちていたエースの#11イム・ヨンヒも後半の勝負どころではきっちり仕事をして20得点。JXが単発な攻めで決め手を欠いているのとは対照的に、ウリ銀行はディフェンスをかわしてシュートをきっちり決めてくるタフさを備えていた。
 
 

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