韓国、チャイニーズ・タイペイ、中国のリーグ&チーム事情
“ライバル”国のリーグ&チーム事情を探る

文・写真/小永吉陽子

優勝/ウリ銀行(韓国)

鍛え抜かれたスタミナと粘りと積極性
最後まで自分たちのバスケを貫いた初代女王

33歳にして全盛期を迎えるほどの成長を遂げたウリ銀行のエース、イム・ヨンヒ

 地元開催の第1回大会を全勝優勝で飾ったウリ銀行。過去に連覇を飾った名門チームも、ここ数年はスター選手の不在が響き、ここ4シーズンは最下位に転落していた。しかし、多くの韓国代表を擁する常勝軍団、新韓銀行から引き抜かれてコーチからヘッドへと昇格したウィ・ソンウHCと、チョン・ジュウォンコーチがこの1年でチームを激変させた。

「朝練、午前練、午後練、夜連のすべてをコーチングスタッフと選手たちが合同で行います。体力から鍛え直して、たくさん練習をしたので優勝できました」と、今大会の得点王でエースである#11イム・ヨンヒ(178㎝、33歳)は、練習量で這い上がってきたことを優勝の要因にあげていた。

 また、今シーズンから導入された外国人枠には、オリンピックで2度の金メダルを獲得し、WNBAで4度の優勝を誇るベテラン、ティナ・トンプソン(188㎝、38歳)が加入。このベテランセンターの経験豊かなキャリアがチームにマッチし、ファイナルでは三星(サムソン)生命を3-0のストレートで下している。

 スタミナに強いことはこの大会にも現れ、どの試合も終盤に強かった。圧巻だったのは初戦の中国戦だ。前半は高さに押されて劣勢だったが、12本の3ポイントと激しいディフェンスで逆転勝ちを収めた。

 ディフェンスの運動量は優勝決定戦となったJX-ENEOS戦でも発揮された。渡嘉敷に対してのダブルチームはWリーグのどこのチームも行うものだが、しつこさは日本以上。ダブルチームでダメなら3人で囲んでトリプルチームにまで追い込んだ。「リーグ中に外国人を守っていた経験が功を奏した」とウィ・ソンウ監督はしてやったり。ディフェンスからリズムをつかむと、内外角に効率のいい攻めでジワジワと主導権を握り、66-62の僅差でJX-ENEOSを下した。

1、2番を務めた若手ガードのパク・ヘジン。大会を通して伸びた選手

 しかしながら、大会前のウリ銀行は、国際大会等の経験がない若手選手が多いことで、国内メディアからは懸念の声も囁かれていた。WKBLのファイナルが終わったのは日本と同時期の3月19日。外国人選手は契約が終了したためにこの大会には参加せず、またポイントガードの#13イ・スンア(175㎝、20歳)をケガで欠いたために、新たなチーム作りを余儀なくされている。初戦を終えた時点では「仕上がりは50%くらい」(ウィ・ソンウHC)だったが、そんな不安をかき消したのは、やはり、リーグが終わってすぐに取り組んだという練習量の多さと「勝ち負けよりも、面白いバスケと私たちのプライドを地元で見せたい」と常に語っていたウィ・ソンウHCの積極的な采配が功を奏したからだろう。

 自分よりも大型の選手を守ることで経験を積み重ねていったセンターの#1ヤン・ヒジ(185㎝、28歳)や、本来は2番ポジションながら、PG欠場の穴を埋めた#9パク・ヘジン(178㎝、22歳)らを長時間にわたって起用することで、大会を通して選手たちに自信を植え付けていった。また代表経験を持つ#10キム・ウネ(182㎝、30歳)のディフェンスのカバーの広さやJX-ENEOS戦でもぎとった8本のリバウンドには、唯一の代表経験者という意地も見えた。こうした積極的な選手起用の采配は、粘りのチームカラーとともに、要所では一歩も引かない攻めの姿勢も生みだしていた。
 
 

組織化された粘りある攻防と個々の積極性が優勝へと導いた

 エースのイム・ヨンヒはレギュラーシーズンとプレーオフ、そして今大会でMVP3冠を獲得。これまでの彼女は代表に選出されたことはあるものの、ベンチメンバーとしての働きが多く、エース級の活躍をする選手ではなかったというが、まさに今が全盛期。33歳、遅咲きのエースの安定感は、アジアにまた一人、強力なライバルが出現したことを物語っていた。

 ウリ銀行が見せた豊富な運動量とボールに対してのムーブ、内外角に効率のいい組織だった攻防は、スーパースター不在でも勝てることを示したといえる。決して派手なチームではなかったが、自分たちのスタイルを辛抱強くやり抜いてつかんだ“初代アジアチャンピオン”の栄冠だった。
 
 
◆次ページでは3位の國泰人壽(チャイニーズ・タイペイ)を紹介
 

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