日本は9-12位決定戦へ
「チームディフェンスで粘り、勝負所で走りたかった」

決勝トーナメントの8強入りを懸けて、流れを引き寄せたかった日本だが……


取材・文/舟山 緑   取材・写真/小永吉陽子
 
鈴木貴美一ヘッドコーチ インタビュー

「1オン1の力が足りないからこそ、チームディフェンスで粘り、
勝負所でブレークに走りたかった」

ヨルダン戦の試合を終えて、ヨルダン戦の敗因はどこにあったのか、
また予選ラウンド、2次ラウンドの戦いから見えてきたチームの弱点について、
鈴木貴美一ヘッドコーチにぶつけてみた。

 

去年のチームと違うのは、ディフェンスがイージーになっていること

――昨日(8月6日)のチャイニーズ・タイペイに負けたことを、選手は引きずっていませんか?(海外メディア)

負けていること自体が「(今のチームの)力」なので、選手が引きずっていることはないです。接戦で負けているのはチームの力であり、他のことでエナジーを使っているからです。今日も選手は朝からやる気をもってゲームに臨みました。

――日本は、去年9月のアジアカップで準優勝を遂げています。その時のチームと違う点は?(海外メディア)

ディフェンスがルーズになっていることが多いです。そこは大きく違う点です。去年のチームからメンバーの入れ替えをしてディフェンシブな選手が抜けたということもあり、アジャストがうまくいきませんでした。オフェンスでやらなくてはいけないこともありますが、一番はディフェンスが全くイージーになっています。そこが違う点です。

――後半、追い上げる場面でなかなかシュートを決め切ることができませんでした。何が足りなかったですか。

その点もエナジーを使っているのでシュートが入らないのであって、だからこそディフェンスを頑張らなくてはいけなかったのです。ディフェンシブな選手が抜けた中で、守りのうまい栗原君などをもっと全面に出すべきだったのかなと思います。そこは少し失敗したかもしれません。

――相手のポイントゲッター8番の帰化選手に栗原選手と田中選手を交代でマッチアップさせ、後半は桜井選手をつかせました。しかし、要所でやられ、止めることができませんでした。そこはどう計算していましたか。

8番は16得点、ガード11番は9得点で、これぐらいは計算していました。それよりも、開始3分程でセンターの5番が負傷退場し、代わりに入ってきたビッグマンにやられました(13番:15得点)。あまり試合に出ていなかったので元気いっぱいで、リバウンドを頑張られてしまった。そこが計算違いでした。
 

勝負どころの1本のリバウンドの重み。そこをチームで徹底できず

攻撃の起点として期待され、7月下旬にチームに合流した桜木。守りの甘さが失点につながっている

――この一戦だけでなく、今大会、桜木選手のディフェンスの甘さが気になります。相手センターに簡単に打たせてしまい、得点を稼がれているシーンが目立ちます。その点はどうですか。

確かにそれはあります。前回はもう少しディフェンスがよかったのですが、今大会はディフェンスもリバウンドも出来ていません。こちらが「少し使い過ぎてしまったかな」という思いはあります。

今日はジェイアール(桜木)がファウル2になったところでショーン(市岡)を入れ、リバウンドを頑張ってくれましたが、オフェンスでは(シュート力がないために)完全に離されるので、4人で攻めなくてはなりません。点数がどうしても欲しかったので、再びジェイアールを戻しました。彼をもう少しベンチに下げていたら、また違った展開になっていたかもしれません。ただし、これは勝負がかかった試合なので、いつもと違ったことは出来ませんでした。

――そのディフェンスの修正は、2次ラウンドの3日間でどう取り組んだのですか。

ジェイアールのところのディフェンスがダメだ、ということではありません。それならば彼を起用しなければいい訳ですから。一人の選手のせいというのは、絶対にありません。ある程度、ディフェンスは出来ていますが、結局はリバウンドです。いいディフェンスをした時に限って、最終的にリバウンドを支配されている。そういうところを徹底させられなかったのは、私の責任です。選手はみんなディフェンスを頑張っていますが、勝負所での1本のリバウンドが獲れない。それが(今のチームの)力だと思います。1点差で負けるのも力ですし……。

日本の場合、ディフェンスを頑張って走るということをやっていかなくてはいけません。オフェンスにおいて1オン1の力がないからです。他のチームは困った時に必ず1オン1で仕掛け、そこから崩していく攻めがどのチームにも必ずあります。しかし、1オン1で点数が獲れる選手が日本にはいないので、いかにチームディフェンスをしてチャンスで走るかです。

走りっこをしたら最後はバテてしまうので、緩急をつけて勝負所で走ってブレークを出すというプレーをしながら、1オン1の力をもっともっとあげていかなくてはダメだと思います。1オン1のスキルアップの練習はかなりやってきましたが、相手はフィジカルが強いのでそう簡単にはファウルをもらえません。そういうところの向上が今後、必要になってくると思います。
 

若い選手にはアグレッシブに攻めて欲しい。それが国際舞台で通用するプレーにつながる

インサイドとアウトサイドが要所で決まるヨルダンに対して、日本は#13辻の3ポイントの反撃のみに終わってしまった

――試合の終盤、ガードの辻選手が果敢にシュートを打ち得点をつなぎました。ああした強気の攻めがもっと出ていたらと感じます。タイムアウトでの指示は?

タイムアウトでは「とにかくアグレッシブに攻め気を出して行け」と指示しました。それに対して辻君が攻め気を出してああいう形で見せてくれました。

このメンバーは、みんな練習でもスタッフの言うことを聞きますし、一生懸命で真面目な選手ばかりです。しかし、人がいいというか、もっと「やってやるんだ!」というのを全面に出していかないと……。どうしてもチームで何とか丁寧に攻めようとしてしまう。そこは果敢に攻めていかないと、戦えません。そうしたプレーの中から「こう攻めたら行けないんだ」とか、「こう攻めたら行けるんだ!」という国際舞台で通用するプレーを覚えていくのだと思います。だから若い選手には、積極果敢に攻めて欲しかった。しかし、ここに来ても、まだ遠慮が出ています。

残り2試合は、失敗してもいいからガンガン攻めていって欲しい。それと、ディフェンスとリバウンドにおいても、もっともっと激しくプレーをしていくことが大事です。もちろんいいディフェンスもありますが、まだまだダメです。ファウルになってもいいから激しく守らっていかないと。今日も4ファウルを使わないクォーターがありました。それは日本としては、絶対に許されないことです。

――これで日本は9~12位決定戦に回ります。改めてどう戦いますか。

この大会は、若い選手を選んで「勝つ」ことを目標にしてきましたので、残り2試合を決して無駄にしないように戦っていきます。これまでの日本は、下位の順位決定戦でダラダラ、ズルズルと戦ってしまっていました。しかし、われわれは国際ゲームの経験が少ないのですから、こうした試合を決して無駄にしたくありません。

このことは、試合が終わってすぐに選手に言いました。「しっかりと戦うこと。これだけは約束してくれ」と――。そうでないと、若い選手は前に進めません。この若いメンバーが3年後、5年後にスタートになった時では遅いのです。今、ここで真剣に戦うことをやらなければ、絶対に間に合わないのだと。竹内君たちが大学生の頃から国際舞台で戦ってきても勝てない訳ですから、このことは若いメンバーに厳しく伝えたいと思っています。残り2試合、「え、これだけ出来るじゃないか」と皆さんに思わせるぐらいのゲームをしていきたいです。
 
 
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