スペイン行きのチケットを獲得するチームはどこだ!?
中国陥没・伏兵躍進・帰化選手vs死のC組の結末は!?

チャイニーズ・タイペイが中国を96-78の大差で下す金星!「前半で10点差ついてもネバーギブアップの精神だった」とヘッドコーチ。選手とがっちり抱き合って喜びを表現

アジア選手権ベスト4出揃う
マニラ激震!中国陥没・伏兵躍進・
死のC組vs帰化選手対決の結末は!?

文・写真/小永吉陽子 写真/細田季里

アジアの盟主・中国が準々決勝でチャイニーズタイペイに敗れ、メダルを逃す大波乱

中国はイー・ジェンリェンが奮闘するも、チームが機能しなかった。チャイニーズ・タイペイは帰化選手、クインシー・デイビスの加入でリバウンドが強力になった

「台湾」が「大陸」を破る歴史的快挙!

 ワールドカップ出場権をかけたアジア選手権はベスト4が出揃った。今大会の特徴であり、決勝トーナメントの見どころは「イラン、韓国、中国――“死のC組”の国内組」 vs 「帰化選手を持つ国」の対決になったことだ。

 死のC組以外のベスト8国は、すべて帰化選手を擁している。厳密に言えば、韓国にはイ・スンジュン(204㎝、35歳)という帰化選手が存在するのだが、各国の帰化選手が大会直前の加入で“助っ人”的扱いなのに対し、イ・スンジュンは韓国とアメリカのハーフコリアンとして、すでにKBLで4年間プレーしている。「母の生まれた国でプレーできることを誇りに思う。太極旗を身にまとうと熱い血が沸いてくるんだ」と語るその姿は韓国人のそのものといっていいだろう。

 これまで帰化選手の起用といえば中東勢が多かったが、今大会はチャイニーズ・タイペイとカザフスタンが初の帰化選手導入に踏み切った。ベスト8に進出できなかった日本も大会直前に桜木ジェイアールを合流させている。ここまで帰化選手ラッシュとなったのは大会初のこと。まさしく、底力があるイラン、中国、韓国の死のC組に対し、帰化選手を入れて強化を図る国々が挑む対戦となった。

 負けたら終わりの決勝トーナメント、8強が出揃った準々決勝で中国がチャイニーズ・タイペイに敗れる波乱が起きた。中国がアジア選手権のベスト4に進めなかったのは、北京オリンピックの出場権を持っているためBチームが出場した2007年以来。A代表であれば、FIBAアジアに加盟した1975年以来、38年間の歴史ではじめてのことだ。そのため、中国の記者たちは「38年ぶり」「史上初」という言葉を見出しに持ってきたほど、アジアでは衝撃的な出来事で大波乱が起きたといえる。

 中国はロンドンオリンピックで一勝もできずに終わったことから、2006年の世界選手権でギリシャを準優勝させたパナジオティス・ヤナキスHCを4月末に招聘して、チーム再建に乗り出していた。しかし、チーム作りは思うように進まなかった。

 ここ10年間、中国の司令塔を務め、得点力あるガードでキャプテンのリュウ・ウェイ(190㎝、33歳)が足首を怪我したことにより、大会直前にエントリーから外れるアクシデント。さらには7月26日にエースのイー・ジェンリェン(214㎝、25歳)がニュージーランドとの強化試合で右太ももを打撲。大会には間に合ったが、初戦の韓国戦の死闘で状態が悪化し、以降は2次ラウンドの最終戦まで4試合を欠場した。また、リュウ・ウェイの穴はアンダー世代から注目され、ロンドンオリンピックで台頭したチェン・ジャンファ(24歳、188㎝)が務めたが、初戦の韓国戦でヤン・ドングン(180㎝、31歳)に抑え込まれてからどうもリズムに乗り切れない。

中国はギリシャの名将、パナジオティス・ヤナキスHCを招聘。就任3ヶ月では、まだチームカラーが浸透しなかった

 中国としては、ヤナキスHCのモットーであり、ギリシャを世界選手権の決勝に導いたプレスディフェンスを仕掛けたいのだが、これがまだチームには徹底されず。チームが機能しないことから、準々決勝のチャイニーズ・タイペイ戦は苦肉の策で、大型でキャリアあるメンバーをスタメンに起用した。ポイントガードを務めたのは205㎝のスン・ユエ(27歳)。また「将来性がもっともある」(ヤナキスHC)と言われるグオ・アイルン(192㎝、PG)とワン・ジェリン(212㎝、C)の19歳コンビが起爆剤となることでペースをつかみ、決勝トーナメントで持ち直したかに見えた。しかし、13点差のリードを奪って前半を折り返そうとしたところ、タイペイにブザービーター3Pを決められ10点差となってしまう。ここからタイペイの反撃が始まったのだ。

 帰化選手のクインシー・デイビス(203㎝、30歳)を軸に、ティエン・レイ(202㎝、30歳)、リン・チーチェ(192㎝、31歳)ら、代表歴の長いフォワード陣が外角を自在に決め、昨季、台湾プロリーグSBLでMVPを受賞したツァイ・ウェンチェン(188㎝、28歳)がしぶといプレーで得点をつないでいく。

 中国はガードのゲームメイクが定まらないばかりか、タイペイの押せ押せムードに我慢しきれなくなり、ジュ・ファンユー(30歳、205㎝)、スン・ユエらキャリアある選手たちがシュートセレクションを乱す大ブレーキ。ディフェンスで意思の統一が図れず、大黒柱が万全ではない中国は、脆くもタイペイの前に崩れてしまった。

 中国が敗れたことがクローズアップされがちだが、この試合は勝利したチャイニーズ・タイペイの健闘を讃えるべきだろう。なんと中国相手に18点差勝利。前半のビハインドを考えれば、後半は28点もリードしたことになる。ホームのフィリピンとの対決でも13点のビハインドからの逆転勝利。今大会、主力メンバーが揃っているタイペイは、もはや勢いを通り越して底力までつけたように見える。

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