韓国・ソウル:6月25日~30日
男子ユニバ代表が挑んだプレ大会

男子ユニバ代表。本大会直前、韓国で開催された5カ国対抗のプレ大会に挑んだ

男子ユニバ代表が挑んだプレ大会
直前の4戦から見えた課題とは

「第28回ユニバーシアード競技大会(韓国・光州)」が、7月4日、韓国で開幕した。当初はFIBAによる「日本協会の資格停止処分」によって日本チームの大会参加が危ぶまれたが、6月19日のFIBAの「制裁解除」によって晴れて出場が可能になった。
この「制裁解除」のニュースは、男子ユニバ代表に思わぬチャンスをもたらした。それは、ユニバーシアードの開催地・韓国でのプレ大会「2015アジアパシフィック大学バスケットボールチャレンジ」(6月25日~30日:ソウル)への参加が急きょ実現したことだ。「ユニバの前に4試合できる。それが非常に僕たちには助かること」と語った池内泰明ヘッドコーチ。本大会直前に参戦したこのプレ大会の様子と、そこで見つかった課題についてレポートしたい。

※ユニバーシアード=以下、ユニバと表記

取材・文・写真/細田季里

◆ アジアパシフィック大学バスケットボールチャレンジ

大学バスケットの強化を目的に、韓国協会が開催
「2015アジアパシフィック大学バスケットボールチャレンジ」とは

「アジアパシフィック大学バスケットボールチャレンジ」は、韓国バスケットボール協会が「男子代表(FIBAランキング28位)と、韓国プロバスケ界の根幹を支える大学バスケットの国際競争力の向上」を目的に、海外チームを招待して昨年度から開催している大会である。

2回目となる今大会は、韓国A(ユニバ代表)、韓国B(ユニバ代表以外の大学選抜)、カナダ(オタワ大)、ロシア(ユニバ代表)と日本(ユニバ代表)の5チームが参加した。本来は、中国とフィリピンの大学が参加予定だったが、5月下旬に韓国内で発生したMERSの影響によって両国の大学が出場を辞退。そこに日本の制裁解除のニュースが流れ、日本のユニバ代表の参加が急きょ実現した。大会は5チームの総当たり戦。日本ユニバ代表にとっては、国内での強化合宿のみで積み上げてきたものを本大会直前に試せる貴重な機会となった。4試合を通して日本ユニバ代表が何を感じ、何が課題として見えてきたのか――。

◆第1戦:オタワ大戦、第2戦:ロシアユニバ代表戦

国内合宿での成果をぶつけて勝利したカナダ戦
圧倒的な高さに挑み続けたロシア戦

 ○ 日本ユニバ代表  72 (10-12、15-17、28-20、19-19) 68 オタワ大(カナダ) ●

初戦のオタワ大戦から日本は攻めのディフェンスを見せた

初戦の相手は、カナダ大学リーグ準優勝のオタワ大。主力メンバー2名がカナダユニバ代表に選出されていたために不在。シーズンは3月に終わり、1か月前から練習を開始したということで、コンディションはさほど良いものではなかったが、新シーズンに向けていろいろな選手を試す機会としてこのプレ大会に臨んでいた。

試合は前半を終えて25-29と相手にリードされるも、日本が前線から積極的にディフェンスでプレッシャーをかけて粘りを見せて食らいついた。そして訪れた3Q。

「リバウンドからブレイクがかなり出て、28点取れました。切り替えの速さが出たところと、ディフェンスでボールへのプレッシャーがかけられるようになってきた。相手がオフシーズンなのもありますが、後半コンディションが下がってきたところに、こちらのファストブレイクが重なったのが今日の勝因だと思います」(池内泰明ヘッドコーチ)

試合は、日本が掲げる「全員ディフェンスから切り替えを速くし、ブレイクなどの展開から攻撃を仕掛ける」バスケットスタイルで、初戦勝利をあげることができた。もちろん、相手のコンディションもあるが、それでもこれまで練習のみで積み重ねてきたものを実戦の場で試せたことは次へとつながる内容となった。

 ● 日本ユニバ代表 73 (22-27、9-26、17-28、25-17) 98 ロシアユニバ代表 ○

ロシアユニバ代表、220cmの#15アンドレイ・デシャトニコ。世界の舞台ではこの高さが大きな壁になる

2戦目のロシアユニバ代表は、自国・カザンで開催された前回大会で優勝。その時の指揮官・ヴァシリー・カラセフが再びヘッドコーチを務め、前回メンバーも3名残ったチーム構成。それ以上に際立ったのが高さだ。最長身220cmの#15アンドレイ・デシャトニコを筆頭に、200cm超えが計6名で、平均身長は200.5cm。対する日本は、200cm以上が1人もおらず、平均身長は188.4cm。日本チームにとっては、本大会を前に世界の高さを体感できる貴重な一戦となった。

記者会見で「まだチーム状況は60%ぐらい」(ヴァシリー・カラセフHC)と語ったロシア。2週間前からチーム練習を開始したという。試合前の練習ではアーリーオフェンスからインサイドを起点としたパスワークによるセットオフェンスのパターン確認を繰り返し行い、それをゲームの中で試す姿が見られた。そのロシアに対して日本は、1Qこそ22-27と食らいつくも、2Qは9点しか取れず。さらに3Qで引き離され、4Qを迎える時には48-81とほぼ勝敗を決定づけられる点差となった。

だが、この点数がいい意味での開き直りを生む。アウトサイドシュートだけに頼ることなく、高さのあるロシアに臆することなくゴールへまっすぐ攻め込むプレーが多く見られた。さらに、最後まで自分たちのバスケを試し続けた日本は、前線からのプレッシャーディフェンスだけにとどまらず、2-2-1ゾーンやプレスも積極的に試した。ディフェンスについて池内ヘッドコーチは、「サイズが大きいので上のパスを通されたが、(相手のオフェンスが)かなり時間をかけてきていた。そういう意味でハーフコートではだいぶ守りやすくなっていた」と、試合後の記者会見で評価していた。

試合は終盤、日本が追い上げを見せて73-98で終えた。4Q序盤では急激に疲れを見せ始めたロシアが日本のブレイクをファウルで阻止する姿も見られ、その後のタイムアウトではヴァシリー・カラセフHCから体育館に響き渡るほどの激しい檄(げき)が飛んでいた。

日本は、コーチ、スタッフ陣もともに戦っていた。水野宏太アシスタントコーチ(レバンガ北海道)を中心に、比嘉靖アシスタントコーチ(大阪体育大)、岩部大輝テクニカルスタッフ(東海大)らがスカウティングを行い、それを元に当日練習で対策を確認。本番さながらの流れを確認するという“もう1つのプレ大会”の場になっていた。
 
 
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