1次ラウンド総括
イランに惨敗スタートから走りを思い出した日本

インド戦、日本は球際を制することで走りから勝利を呼び込んだ

FIBAアジア男子選手権 ◆1次ラウンド総括

イランに惨敗スタートから走りを思い出した日本

文・写真/小永吉陽子
 
 
長谷川体制が始動して2年。もっとも追求してきたテーマは「積極性を激しさを出すこと」だった。国際大会のたびにフィジカルの弱さや積極性に欠けていることを痛感し、タイプの違う国との連戦に対応できず、試合を重ねていくにつれ心身ともに疲労を重ね、意気消沈していたのがこれまでの日本だったからだ。

アジア選手権初日。イランとの初戦は、この2年間に掲げてきたテーマをすべて忘れてしまったかのような、消極的で当たりの弱さを露呈した試合になってしまった。結果は48-86で完敗。

日本は218㎝のハメド・ハダディを警戒してトラップディフェンスにいくあまり、ディフェンスローテーションが乱れ、そこを突かれた。さらには弱気になってパスを回していたところをスティールされて速攻に持っていかれるシーンの連続。それでも前半はイランがイージーシュートを落としていたことで助かっていたが、後半はどこからでも攻めてくる得点を止められず、若いガードにもハッスルされて引っ掻き回されてしまった。ターンオーバー19、フリースロー59%、13本ものスティールを許したのでは対抗できるわけがない。

インド戦後の選手たちのコメントで確認できたことだが、イラン戦に大敗したことで選手たちは「自信を失っていた」という。だが、戦意喪失したまま試合を続行してしまったらこれまでと何も変わらない。アジア選手権は敗戦を取り戻せる大会。言い換えれば、過去の大会は取り返すための修正を怠ってきたから、連戦に弱かったともいえる。2戦目のマレーシアは格下ではあるが、大会を戦う勢いを出していくためにはしっかりと修正して確認ができる相手。日本は出足からアグレッシブなディフェンスと17本の3P(49%)で気を抜くことなく戦い、流れを取り戻すことと、気持ちを切り替えることだけはできた。

1次ラウンドの最大の勝負となったインド戦では、イラン戦と同じように203㎝と210㎝の高さを警戒して臨んだが、逆にやられたのは外角シュートであり、その対応に遅れたために5-14とビハインドを負う出足となった。ここで流れを変えたのは、ベンチスタートとなった最年長の田臥だった。リバウンドやルーズボールにみずから跳び込むその姿勢はチームに流れを呼び込み、速い展開をもたらした。田臥のゲームメイクから前半は松井、後半は古川らシューター陣が火を噴いた。

日本が目指しているバスケットボールはどのようなスタイルなのか。

長谷川ヘッドコーチは「セットプレイではなく、トランジションで得点を取る状況にしないと厳しい。とくにシューターを生かしたい」とチームを作ってきた。昨年秋のアジア競技大会では、大会終盤にようやく目指している形が出てきたからこそ3位に浮上したのだ。その時のシューターは金丸晃輔と辻直人だったが、今大会ふたりはケガのためにメンバーから外れている。今大会は、松井や古川らのシューターをはじめ、チャンスを作って外角からシュートを狙い、走る展開こそ目指している形だ。

「日本はリバウンドやルーズボールを一つでも多く取らないといけない。いくら日本が走る展開が得意といっても、そこを頑張らないと走る展開は生まれない。取れないかもしれないけれど、リバウンドやルーズボールは取りにいかないといけない」

試合後、田臥が語った言葉はこれまでの日本にいちばん欠けていた部分であり、やらなければならないことをリーダーみずからが体現してみせたのだ。日本のテーマである「積極性や激しさ」の正体は、地道で泥臭いことをいかにできるか、なのだ。

インドとの第一関門をクリアした日本。「田臥さんがいい風を吹き込んでくれたからインサイドももっとやらなければ」と竹内は言い、「最年長に気づかされた」と比江島は言った。インド戦で率先してボールを追った田臥にしても、初戦のイラン戦でガード陣に煽られてしまったことを払拭し、次につなげていきたい思いで戦っていたのだ。

チャンピオンシップの戦いは次戦につなげてこそ。そのために無駄な試合などひとつもないのだ。今回、日本は組み合わせに恵まれた。2次リーグではフィリピン、パレスチナに焦点を絞って戦うことができる。インド戦で日本の原点である走りを見直せたことで、2次リーグ以降につなげていきたい。

「イラン戦のあとの2試合はトランジションと球際を強くすることを再確認できた。マレーシア戦とインド戦でその精度はよくなってきたと思う。日本が徹底してやらなくてはいけないリバウンドとルーズボールの見本となってくれたのは田臥でした。でもまだまだもっとやらないといけない。2次ラウンドは相手のアジャストも大切ですが、自分たちのやってきたことを徹底することを心がけたい。正直、パレスチナの強さはわからず、香港は前回(2013年)に競っている相手。全試合に気は抜けない。すべてにアグレッシブに戦いたい」(長谷川ヘッドコーチ)

<1次ラウンド各グループ順位>
グループA/イラン、日本、インド
グループB/パレスチナ、フィリピン、ホンコン・チャイナ
グループC/中国、韓国、ヨルダン
グループD/カタール、レバノン、カザフスタン

<2次ラウンド試合予定>
9月27日(日)日本 vs フィリピン
9月28日(月)日本 vs パレスチナ
9月29日(火)日本 vs ホンコン・チャイナ