2次ラウンド総括
ポイントとなるゲームを制して2大会ぶりのベスト8進出

2次ラウンドを突破した日本。準々決勝のカタール戦で真価が問われる。インサイドの要・竹内譲次(フィリピン戦より)

FIBAアジア男子選手権 ◆2次ラウンド総括

ポイントとなるゲームを制して2大会ぶりのベスト8進出

文・写真/小永吉陽子
 

“運”を味方につけて決勝トーナメントへ

日本は2大会ぶりに決勝トーナメントに進出した。10月1日、第一関門である世界最終予選の切符獲得をかけた準々決勝を迎える。

大会前から長谷川健志ヘッドコーチは「大会を乗り切るには“運”も必要。今回の組み合わせは、準々決勝まで進めば、逆グループからは高さがある中国以外ならばどこが来てもチャンス」と語っていたが、その展望通り、イランに大敗してからは一戦ごとに修正して戦い、勝負の時を迎えた。

1次リーグではインド、2次リーグではパレスチナとホンコンチャイナ。この3チームに星を落とさなければ、たとえイランとフィリピンに負けても、決勝トーナメントに進出できる組み合わせは、近年のアジア選手権の中では抜群に恵まれたもので、国際大会を勝ち抜く経験が乏しい日本にとって、自信を得られる相手との戦いになった。逆グループではチャイニーズ・タイペイが1次ラウンドで脱落し、ヨルダンとカザフスタンが2次ラウンドで落ちている状況を考えれば、このチャンスは何としてもモノにしなければならない。
 
 

自信喪失と挑戦を繰り返してつかんだ「手応え」

現状からいえば、相手のディフェンスを崩してチャンスメイクができるのは、ゲームメイクを担う田臥勇太と、1対1の能力に長けた比江島慎の2人だ。

そのうち、1次ラウンドまでは比江島がスタートのポイントガードを務めていた。「比江島がダメだった時には田臥があとから出てきて流れを変えることはできる。でも田臥がダメだった場合、比江島があとから出てきて1番を務めるのは難しい」と、長谷川ヘッドコーチは比江島がポイントガードのスタメンである理由を話し、1次ラウンドでは経験を積ませていた。そして勝負がかかった2次ラウンドからは田臥を1番、比江島を2番として起用してきた。2次ラウンドからは比江島の得点力が必要となるからだ。

しかし2次ラウンド初戦のフィリピン戦は、チーム全体がファウルトラブルに陥ったこともあり、田臥も比江島も打開ができず、脚が止まって停滞した時間帯が目立った。日本はシューターが打たせてもらえなくなると、レシーバーが動かなくなってボールマンのところで孤立して無理に1対1を始めてしまうことが多い。フィリピン戦は、まさにこの日本の負けパターンを露呈して66-73で敗れた。ターンオーバー15では勝ち目はない。

とくに竹内譲次はこの試合でドリブルをついてはボールを失うシーンの連続。5つのターンオーバーを犯して流れを切ってしまった。

「田臥さんがコートに出ていない間、自分が引っ張らなきゃいけなかったけど、うまく回らなくてイライラして自分を追い込んでしまった。みんなに申し訳ない。チームとしても心のどこかに『フィリピンは格上だ』と思うところがあり、追いついたところで満足してしまったのかもしれない」と、後悔ともいえる悔しい胸中を明かした。

日本はインド戦のように、相手が格下であれば果敢にチャレンジすることができる。しかし、フィリピンのようにアンドレイ・ブラッチェという元NBAプレーヤーを擁し、ワールドカップ出場クラスのチームと対戦すると、とたんに縮こまってしまう。これは初戦のイラン戦も同様であるが、少なくともフィリピンに関していえば、近年ベスト4の壁を破ったのは2011年大会以降である。それでもここ数年、もっとも勢いあるチームに対して、日本は受け身になってしまったのだ。

2戦目のパレスチナ戦こそ、日本の真価が問われるゲームだった。そしてこのゲームに勝たなければ、逆グループの1位である中国と対戦になるか、決勝トーナメントに進出できない可能性も出てくる重要なゲームとなった。

実力不明だったパレスチナは、今大会アジア選手権初登場。西アジア地区でシリアに勝利して出場を果たし、大会初日にフィリピンに勝利して注目され始めたチームだ。昨年のアジア大会では、本戦に登場する前の下位リーグで姿を消しており、情報入手がしづらいためにノーマークだった。

パレスチナは、中国プロリーグのCBAで3シーズンプレーしているタフなフォワード、サニ・サカキニや、シューターのアブ・シャマーラが得点を重ねるチーム。日本は序盤のディフェンスがソフトで1Qを21-12とビハインドから入ったが、終盤は脚でかき回し、選手層が薄い相手の弱点を突いて勝利。「チームとしての連携が取れてきた」と、長谷川ヘッドコーチが手応えをつかむ試合となった。

中でも竹内はフィリピン戦の悔しさを吹っ切って意欲的なアタックを続け、38分出場、21点、19リバウンドというスタッツを残したことが大きな勝因となった。フィリピン戦で39分、パレスチナ戦で38分とフル稼働した竹内は、「インサイドがウィークポイントのチームなので、自分がやらなければならない」と決意を語ったうえで、ほぼフル出場している現状についてこのように語った。

「今、僕は30歳で体も動いて経験も積んで、いい時期にオリンピック予選を迎えてモチベーションは高い。フィリピン戦のように自分がミスをしてしまうのは人間的に弱いからで、そういう部分をこの大会でなくして、もっと成長しなければいけない」

フィリピン戦後に竹内が発した「心のどこかで相手が格上だと思った」「追いついたことで満足してしまったかもしれない」という言葉は、チームの気持ちを代弁したものだともいえる。

日本は、上位国にチャレンジするときは弱腰になってしまうところがある。勝ち切るためには自信をつけることが必要であり、自信をつけるためには一つ一つの試合にチャレンジをして、戦える手応えを積み上げていくことが重要なのだ。そして、今大会はターゲットゲームであるインドとパレスチナに勝利し、少しずつ手応えをつかむことができた。そしてベスト4への扉を開けるチャレンジの時を迎えたのだ。

チームリーダーである田臥がルーズボールやリバウンドといった球際のプレーに体を張っている。このチームでいちばん代表のキャリアを持つ竹内自身も、エースとして勝負しなければならない時が来た。
 
 

リバウンドが強く、近年勝ち切ってないカタールが準々決勝の相手

準々決勝で対戦するのはカタールだ。混戦となった逆グループをしぶとく勝ってきた。今大会のカタールは、NBLの日立東京でプレーしていた帰化選手、ポイントガードのトレイ・ジョンソン(FIBA登録のパスポート名はクリントン・ジョンソン)がエース。2012年のアジアカップでは、決勝トーナメントから合流したが、その時以来の代表参戦である。

カタールは、レバノンには再延長に持ち込んで勝利し、韓国には相手が主力依存でゲームテンポが変わらないところを突き、ロースコアでねじ伏せるなど、しぶといゲームコントロールが武器のチーム。しかし再延長で疲労が溜まったあとはチャイニーズ・タイペイ戦を落とし、クリントン・ジョンソンがケガで不在だった中国戦には完敗している。日本にとって、格下ではないが、格上でもない相手だ。

2012年のアジアカップでは日本が2連勝したが、2013年のアジア選手権では1点差で逆転負け(74-75)、2014年のアジア競技大会でもブザーピーターを決められて71-72で敗れており、あと一歩のところで勝ち切れない課題についても乗り越えたい絶好の相手だ。

今の日本のいいところは、長谷川ヘッドコーチが選考理由の決め手とした「短い時間でも自分の仕事ができるメンバー」が役割を果たしていることであり、そうした選手起用をしているところが持ち味でもある。大一番のカタール戦でもその姿勢がブレることなく、チーム一丸となること。そしてカタールの強みであるリバウンドで負けないことが最大のカギとなる。
 
 

準々決勝 日本vsカタール戦は、本日17:35~フジテレビNEXTで生中継

◆10月1日(木):準々決勝 (現地時間: 日本時間は+1時間)
   14:30  イラン vs  韓 国       
   16:45  日 本 vs  カタール   
   19:30  インド vs  中 国      
   21:30  フィリピン vs  レバノン
 
    
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