帰化枠で初の代表入り
男子代表に“熱い風”を吹き込む男、アイラ・ブラウン 

193㎝ながら、その身体能力の高さを生かして、3番、4番ポジションを担ってきた

■日本のバスケットへの思い、代表への思い

「リバウンド、得点、いいスクリーンをかけること。
チームが成功するためにできることは何でもやりたい!」

──他の国でプレーしたのと比べて、日本でプレーするのはどうですか?

「日本は、フィリピンと並んで、プレーするのが好きな国だ。だから、日本でこれだけプレーし続けているんだ。選手たちは身体をとてもよくケアしていて、食べ物もとても健康的だ。サラリー(の支払い)を心配する必要がない。心配することが何もなくて、やらなくてはいけないのはプレーで結果を出すことだけ。南米でプレーしていた時は違った。プレーしなくてはいけないし、給料をもらえるかどうか心配しなくてはいけない。コート外で色々な障害があって、それがコート上のプレーにも影響するほどだった。だから、日本やフィリピンは本当にやりやすい。他のことを気にすることなく、トレーニングし、プロフェッショナルであるように努めればいいだけだからね」

──色々な国での経験があるあなたから見て、日本のバスケットボールはどうですか?

「僕は日本のバスケットボールが大好きだ。ビッグマンとガードがうまく混在している。ガードはとてもいいシューターで、すばらしいスキルを備えた選手たちだ。ビッグマンに関しては、特に(旧)NBLのチームでは、スキルのレベルが高いビッグマンが多い。ほとんどのビッグマンはそこまで運動能力は高くないけれど、でもスキルがすばらしい。

今シーズンからbjリーグとNBLがひとつになることで、両リーグの選手たちがいっしょにやることになる。JBAは本当によく両リーグを合併させたと思う。それによって日本のバスケットボールはさらによくなっていき、他の国と高いレベルで競えるようになると思う。日本のバスケットボールはまだ成長する余地がたくさんあるけれど、でも、正しい方向に向かっている」

持ち前のジャンプ力を生かしたブロックショット。日本代表でも期待がかかる

──念願だった代表に入って、あなたがこのチームに貢献できることは何だと思いますか?

「何よりも、いいチームメイトでありたいと思っている。それが最初の目標だ。それから、エネルギーを発散して、チームメイトたちを元気にさせ、それによって、どんなレベルであっても競えるようなチームになるように助けること。

中国と競い、イランと競うこと。僕らのほうがサイズが小さいからといって、彼らのほうがいいチームだというわけではない。彼らのほうが上なのではないということを、僕らが証明してみせるんだ。そういったアメリカ的なメンタリティをチームに与えたい。いつでも全力でプレーし、どういう時でも競うこと。リバウンド、得点、いいスクリーンをかけることなど、チームが成功するためにできることは何でもやりたい」

──他のメンバーがどちらかというとおとなしい選手が多い中で、練習中もあなたは積極的に声を出していましたよね。

「そうなんだ。みんなに『チームが成功するためには君が必要だ』ということを伝えたいんだ。『すばらしいシュートだったね!』とかね。みんな、モチベーションになるちょっとしたことが必要なだけなんだ。『このシュートを打って決める。もし決めなかったとしても、チームメイトが助けてくれるとわかっている』という自信が必要なんだ。そういったことが、すばらしいチームを作る。そして、僕はその一員になりたい」

──練習中に、インサイドでボールをファンブルしてしまったときに、『モッタイナイ』と言っていましたよね。試合中に日本語も話すのですね。

「そうなんだ(笑)。チームメイトとは、自分にできる範囲でだけど、日本語でコミュニケーションを取りたいと思っている。日本語は今も習い続けている。チームメイトたちが、僕も仲間の一人だと感じてくれたら……。僕はアメリカ人として育ったけれど、日本の文化が好きで、今は日本の国籍も取った。僕らの間に壁はなく、ひとつだ。そういうことを伝えたい。このチームの選手たちが好きだ。みんな全力で努力し、お互いに信頼している」

──30代半ばの今もまだ一線でプレーし続けることができる秘訣を教えてください。

「毎日ビタミンを摂り、健康的な食事をするようにしている。あとはすばらしい神が僕を守ってくれている。それが秘訣と言えるのかな。
 もちろん、ウェイトルームで一生懸命トレーニングするし、身体のコンディションをできるだけいい状態に保つようにもしている。長いキャリアを送るためにできることは何でもやっている」

──4年後に東京オリンピックが開催されるときにあなたは30代後半になっているわけですけれど、その時になっても代表でプレーしたいという気持ちはありますか?

「もちろんだ。自分で自分を候補から外すつもりはない」

──つまり、その前に引退することは考えていない?

「それはありえない。ありえないね。バスケットボールが大好きなんだ」

──日本代表に入りたかったのも、東京オリンピックでプレーしたいという思いもあるのでしょうか?

「それはそうだ。もし神にその意思があるとしたら、2020年のオリンピックでプレーすることを楽しみにしている。何しろ、僕は自分に天井がないと思っているからね。僕のハードワークは年齢をも超越する。年齢は数字にすぎない。少なくとも僕にとっては」

──身長と同じですね。

「その通りだ。僕は、すべての限界を乗り越えようとしているんだ。あるいは、他の人がお互いにつけるレッテルも越えようとしている。大事なのはレッテルや名前ではなく、中身(ハート)だ。まわりや自分にやる気を出させることができるのはそういうことだ」
 
 
アイラ・ブラウン IRA BROWN
サンロッカーズ渋谷#33/193㎝/SF, PF/1982年8月3日生まれ/34歳/アメリカ・ゴンザガ大出身/2009年Tepic(メキシコ)→ 10年San Miguel Beermen(フィリピン)→ 11年A.Espanola(アルゼンチン)→11年富山グラウジーズ(bj)→14日立サンロッカーズ東京(NBL)→16サンロッカーズ渋谷(B.LEAGUE)/攻守にわたってハードにプレーする選手。常に前向きで、向上心に満ちている。また、ユーモアあふれるキャラクターでチームに活力をもたらしてくれる選手だ。2016年8月末に日本国籍を取得。「2016FIBA アジア・チャレンジ」で初の日本代表入り。
 
 
◆大会公式サイト
◆「2016 FIBA ASIA チャレンジ」特設サイト(日本協会)
 
 

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