予選リーグ/日本 vs 韓国
韓国“190㎝司令塔”の奮闘に見る日本のビッグガードの行方

パク・チャニ(安養KGC→尚武)

190㎝の司令塔、パク・チャニの奮闘に見る日本のビッグガードの行方

 1995年のアジア選手権以来、自国で18年ぶりとなる国際大会開催を迎えた韓国(2002年のアジア競技大会は除く)は、今大会を若手育成の場にしている。来年、2014年にはホスト国として迎えるアジア競技大会で金メダル獲得を狙っており、また現在、KBLでは90年代を支えたスターが続々と引退し、来年のアジア競技大会から2020年のオリンピックまでを見据えた世代交代が最大のテーマになっている。その世代交代の主役となるのが、今回8人選出されている大学生世代なのだ。

 昨年、韓国は2大会連続でオリンピック世界最終予選に出場した。2大会連続予選リーグで敗退したものの、2008年にはカナダ、2012年にはドミニカ共和国という強豪相手に終盤まで接戦を繰り広げた。昨年ドミニカと競ったときのスタイルが、オールコートプレスから走る展開であり、今回のチームもそのスタイルを受け継いでいる。

「世界の主流はオールコートでディフェンスを展開すること。オールコートでプレッシャーをかけて走る体力と精神力がなければ世界では戦えない」

 チェ・ブヨンHCは、短い期間ながら、速攻を出すための練習を徹底的に重ねてきたことを明かす。速攻の要となったのは、インサイドで仕事を果たした#15キム・ジョンギュ(207㎝)、#10イ・スンヒョン(197㎝)、#14イ・ジョンヒョン(206㎝)ら3人のビッグマンであるが、スピードある展開を作ったポイントガードの#9パク・チャニこそが、日本戦の殊勲選手だった。本人いわく「得点も取れて周りを生かすガードになりたいので、日本戦の出来はまだまだ」と自己評価は厳しいものの、そのトップスピードの走りは完全に試合を掌握していた。

 パク・チャニは身長190㎝。現在は兵役中だが、KBLでは安養KGCに所属し、昨シーズン(2011-12)は優勝も経験している。190㎝あるポイントガードということで、ここ数年は韓国代表にも選ばれているが、本来は2番で速攻の先陣を切って走るタイプ。代表では3番手のPGとして、勝敗には関係のないシーンで出てくることが多く、出番が限られていた。オリンピック最終予選のドミニカ戦では、メインガードのキム・テスル(安養KGC/180㎝/28歳)の控えとしてコートに立ったが、終盤のゲームメイクでツメの甘さを露呈してしまい、チームを失速させてしまった苦い経験を持つ。

 しかし、生粋のポイントガードが初選出の大学生しかいない今回の代表においては、パク・チャニの経験とスピード、ディフェンス力は大きな武器になった。スピードを生かした速攻展開能力を全面に出すことで、自分らしい司令塔の姿を見つけたのだ。

 日本でも昨年のアジアカップで大型ガードとして結果を残した桜井良太を筆頭に、比江島慎、辻直人ら大型ガードを育成中である。個人単体としてみれば、3人の能力はパク・チャニに劣ることはない。しかし、チームを機能させる働きまでには至っていない。ゲームを操りながらも、それぞれの持ち味――桜井は突破力、比江島は1対1、辻は勝負強いシュート力をどこで生かすのかを見出していかなければ、いくら大型化しても宝の持ち腐れ。司令塔が定まらないことには、焦点の絞れない中途半端なチームになる恐れがある。

 韓国・チェ・ブヨンHCは言った。「チャニもポイントガードとしてはまだまだ経験が必要です。でも今日は後輩を引っ張ることで気持ちが見えました」

 26歳の軍人ゆえに、若い大学生たちをリードしなければならない。そんな気持ちの強さが、A代表の3番手ガードを一回り成長させた。

 日本は3人3様の大型ガードがコートに立つ。ただ大型化を図りたいためにポイントガードに抜擢したわけではない。大型化した中でも、司令塔としてキラリと光る良さを出せると判断したからこそのコンバートである。しかし、不慣れなポジションをやりこなしつつ、チームと融合させるまでには、相当な経験と時間を要することが、速攻のひとつもまともに出せなかった韓国戦で露呈された。大型コンバートガード3人を抱えた日本の“覚悟”がこの大会で問われる。