予選リーグ/日本 vs チャイニーズ・タイペイ
大学生のムードメーカーが日本の流れを変えた!

#7永吉佑也(青山学院大4年)

大学生のムードメーカーが暗かった日本の流れを変えた!

文・写真/三上 太

 東アジア選手権3日目、予選A組の日本はチャイニーズ・タイペイを【71-70】で振り切り、通算成績を2勝1敗として決勝トーナメント進出を決めた。同時に8月の「FIBAアジア男子選手権」の出場権も獲得した。

 この大一番で青山学院大4年の永吉佑也が大きな仕事をやってのけた。これまでおとなしかった日本代表に元気を注入すると、勢いに乗ってコートの中でも暴れ回り、勝利に大きく貢献したのである。

 永吉は大会数日前にショーン・ヒンクリー(トヨタ自動車)のケガによってメンバー入りを果たした、いわば「13番目」の選手。それがなければ大学の日韓戦、「李相伯杯」の日本代表として同じ時期に福岡で試合をしているはずだった。それが急遽、東アジア選手権の日本代表に入ることになったのだ。当初は戸惑いもあったという。

「李相伯杯に向けて、そのチームの仲間と頑張ってきたわけですからね、呼ばれたときは『え?』って思いましたよ。でもケガ人が出たと言われれば、代表活動に関わっている以上助けなければいけないし、ボク自身バスケットを始めたときから日本代表に入りたいという夢を持っていましたから、いい出来事とはいえないけど、チャンスはチャンスなわけです。自分のやってきた成果をどれだけ発揮できるか、気持ちはしっかりと整えて、この大会に臨みました」

 しかしチームは初戦の韓国戦で完敗を喫し、2試合目のマカオ戦は大勝したとはいえ、どこか雰囲気が暗かった。チャイニーズ・タイペイ戦に勝たなければ、5位決定戦に回ることになる。チームに危機感が芽生えだしたとき、永吉はある決断をする。

「これまでの試合、チームがちょっと暗いなと感じていたので、今日は僕が先陣を切って、大きな声を出していこうと決めたんです。誰か一人くらい、そういう選手がいたほうがいいじゃないですか。それならボクがそのポジションをいただいちゃおうって。僕はコートの中の選手が頑張っていると黙っていられないところもあるんですけど、これまでは一人ではしゃぐのが少し恥ずかしいところがあったんですね。でも今日は勝負もかかっていたし、もうそんなこと関係ないやって」

 ベンチに同世代の辻直人、比江島慎、田中大貴らがいたことも奏功した。自分がはしゃげば反応してくれる仲間がいる。それが彼を後押しした。それだけではない。ベンチも一緒になって戦わなければ勝てないと、昨年のアジアカップで準優勝したときの感覚が、ここに来て蘇ってきたのである。

「普段、大学ではスタメンで出ていますけど、日本代表だとベンチスタートが多くなります。そんなときにどう試合に入っていくか。まずはベンチで戦おうって思ったんです。40分間戦うというのは、コートの上でもベンチのなかでもずっと一緒ですから。それは昨年のアジアカップのときもそうだったし、そこからの継続ですよね」

 永吉はコートに入ってからも結果を残した。3ポイントシュート2本を含む9得点、リバウンドも6つ取っている。フィジカルコンタクトの強さを買われて出場し、なおかつ「空いたら外から思い切って打ってこい」という鈴木貴美一ヘッドコーチの言葉にしっかりと応えたわけである。

 ベンチの中を明るくし、コートの中も明るくするムードメーカー。そういった選手の存在がより強く戦えるチーム、一体感のあるチームには必要である。3試合目にして、このチームとしてのいい表情を見せることができた。

 今日の勝利で今大会の目標であるアジア選手権の出場権を得ることはできたが、ここで終わってはさらなる成長のチャンスを失ってしまう。次戦は5月20日の準決勝、対戦相手は中国。若く荒削りなチームで、アジアカップでも破っているチーム(そのときのメンバーは4人)だが、平均身長が200㎝を超える次世代の中国を担うエリートたちだけに簡単に勝てる相手ではない。それでも永吉は中国に勝って、決勝で改めて韓国と再戦することを望んでいる。

「そのためにも中国戦は今日以上にベンチを明るくして、コート内で頑張っている選手たちを鼓舞したい。そしてコートに立ったら、今日の反省点を修正して頑張りたいです」

 コートとベンチが1つになって相乗効果を生み出せば、十分に決勝進出はありうる。永吉はキーマンの一人である。