予選リーグ/日本 vs チャイニーズ・タイペイ
“新生”Cタイペイが抱える世代交代への課題

チャイニーズ・タイペイ#14ツァイ・ウェンチェン

5決に回った新生チャイニーズ・タイペイが抱える世代交代への課題

文・写真/小永吉陽子

 日本戦終了後、ロッカールームの近くでチャイニーズ・タイペイのコーチングスタッフが集合し、労いの握手を交わしていた。後半に逆転負けした試合内容からすれば「今日は負けるはずがないゲームに負けてしまった」(シュ・ジンジェアHC)のかもしれない。しかし本音としては、国際大会のあまり経験のない選手たちがよく健闘した、という思いもあったのだろう。

 予選リーグ最終戦の日本vsチャイニーズ・タイペイは、勝ったほうが決勝トーナメントに進出する大一番となった。アジア選手権への出場権は5枠あるため、ここで敗れても5位決定戦に勝てば出場権を確保できる“保険”はあった。しかし日本にとってみれば、この大会を5位で終えることは収穫はゼロに等しい。昨年アジアカップを招致し、東アジアの枠をみずからつかみにいった国としては、5位でアジア選手権のチケットを手にすることは目標値としては低すぎるからだ。

 今大会、東アジアの4強といえる中国、韓国、チャイニーズ・タイペイは、この「5枠」を利用して、日本以上に若手や国際大会のキャリアのない選手たちでチームを編成してきた。とくに、これまで東アジア選手権や東アジア競技大会のどちらにおいてもA代表を送り込んでいたチャイニーズ・タイペイが、主力選手の休養に踏み切ったのは遅れている世代交代への危惧からだった。

 東アジア選手権を欠場したのは、中国プロリーグCBAでプレーするリー・シュエリン(176㎝、29歳)、リン・ジージェ(192㎝、31歳)、ウー・タイハオ(203㎝、28歳)、国内リーグSBLのスターであるチェン・シンアン(196㎝、32歳)やティエン・レイ(202㎝、29歳)ら30歳前後の“ゴールデン世代”。彼らはこの10年間を背負ってきた国家代表の顔であり、それ以降に続く選手が出てこないのが、チャイニーズ・タイペイの直面している大きな課題である。この東アジア選手権において、ようやく課題を克服するための第一歩を踏み出したのだ。

 今回のチームで主軸となったのは、SBLで2連覇を飾り、シュ・ジンジェアHCが指揮を執るSBL璞園(プーユェン)の選手たち。中でも、今季MVPを獲得した#14ツァイ・ウェンチェン(188㎝、27歳)やブリガムヤング大ハワイ校でプレーした次世代のエース#10ジャン・ゾンシェン(192㎝、24歳)、シュート能力がある#15クレイトン・ダグラス(197㎝、27歳)らはA代表にも名を連ねるクラス。若手代表というよりは国内で活躍している選手や、これまで国家代表で出場機会がなかった選手にチャレンジの機会が与えられた。

 しかし、韓国と日本と同組になる厳しい組み合わせが決定すると、国家代表の主力センターである#4ツェン・ウェンティン(203㎝、28歳)を急遽合流させる苦しい台所事情もうかがわせた。万が一、戦い方に失敗してしまえばアジア選手権の切符を逃しかねない。準決勝に進出して、安全圏でチケット確保したい気持ちはどこの国も同じなのだ。

 新生代表は、予選リーグの韓国戦で気迫あふれるプレーを展開して前半大善戦。韓国にディフェンスのエンジンがかかった後半からは、集中力が切れてしまう“いつもの”欠点が顔をのぞかせたが、「璞園」というチームを軸としているだけに、予想以上にまとまりの良さを見せていた。最終的に韓国には22点差をつけられるものの、勝負が決した時点で日本戦に向けて気持ちを切り替えていたのは明らかで、大黒柱の#4ツェン・ウェンティンは「日本には絶対に勝つ」と言い残して会場を去っていた。

 その言葉通り、チャイニーズ・タイペイと日本は最後の最後まで競った。お互いにチームが完全に仕上がっていない中で勝負を分けたものは、集中力とスタミナだった。チャイニーズ・タイペイは「後半に入ってディフェンスのスイッチミスが起こり、それを修正できないままオフェンスも自滅してしまった」(シュ・ジンジェアHC)と、ツメの甘さが出てしまったのだ。

 日本は終盤に速攻に走った田中大貴や、外角シュートを決めた永吉佑也ら、関東トーナメント(大学選手権)を終えたばかりの大学生たちが、チームプレーこそあわせる時間はなかったものの体だけは動いていた。若手選手が思い切りの良さに目覚め、集中が切れなかったという点で日本に軍配が上がったのだ。

 5位決定戦に回ることになったチャイニーズ・タイペイだが、8月のアジア選手権に向けてはベストメンバーで臨んでくるだろう。“アク”の強いやんちゃな主力世代が顔を揃える中で、今大会チャンスをもらった選手たちがどのように融合するだろうか。そのためには、目前にある結果をしっかりとつかみに行かなければならない。

「まずは5位決定戦でモンゴルにしっかり勝って、アジア選手権の切符を獲ること。アジア選手権のチーム編成は変わると思いますが、今後の課題は選手たちの体力をつけて、後半の大事なところで戦えるようにすることです」

 シュ・ジンジェアHCは今後の課題を強い口調で話した。
 
 
東アジア選手権 チャイニーズ・タイペイ代表

ヘッドコーチ/シュ・ジンジェア

4 ツェン・ウェンティン(202㎝/C/28歳)
5 ホン・ジシャン(176㎝/PG/27歳)
6 チェン・シウェンシャン(190㎝/SG/27歳)
7 リン・カウァンリウェン(187㎝/PG/29歳)
8 ゴ・ジハォウ(181㎝/PG/27歳)
9 リン・ジィンバァン(190㎝/SG/27歳)
10 ジォウ・ボウチェン(197㎝/PF/22歳)
11 ジャン・ゾンンシェン(192㎝/SG/24歳)
12 リン・イホウェイ(193㎝/SF/27歳)
13 リー・テォウェイ(200㎝/C/21歳)
14 ツァイ・ウェンチェン(188㎝/SF/27歳)
15 クレイトン・ダグラス(台湾名=ジェン・ハウ、197㎝/PF/28歳)