リーグ統一へ一歩前進
統一リーグへ「協議開始の経緯」と「改善すべき3つの課題」

bjリーグが日本協会・NBLとの話し合いに合意。
今後の課題は「リーグ統一」のみならず
「強化」と「日本協会の統括」についての改革

6月21日、日本バスケットボール協会(以下、日本協会=JBA)理事会と評議委員会が開催され
2016年のプロリーグ創設に向けて、日本協会、NBL/NBDL、bjリーグ間で協議開始が合意に至ったことが報告された。
3月15日に日本協会は「Pリーグならびにリーグ構造検討プロジェクト答申」を発表したが
bjリーグ側が難色を示し、「プロリーグ構想」はなかなか進展しなかった。
bjリーグ側が話し合いの席につくと合意したのは、提示した条件を日本協会が承諾したことによるものだ。
「統一プロリーグ創設」に向けて協議開始に至った背景と経緯、
そして、今後クリアしなければならない3つの課題を整理する。

文/小永吉陽子
 

bjリーグの提示した条件を受け入れた日本協会。ようやく話し合いのテーブルにつく

 6月21日、日本協会・NBL・bjリーグの三者において協議開始したことを発表した日本協会。深津会長は「FIBAからも厳しい勧告を受けてきたが、両者ともに過去に捉われるのではなく、バスケットボール界の将来のために、前向きかつ公平性、公益性、公正性を確保しながら、参加各チームの意見を踏まえ、具体的な骨子を作り、本年10月末までに関係者間の合意を得るものとする」と決意を述べた。

 今回、bjリーグが日本協会との話し合いの席についた最大の理由は、日本協会がbjリーグの歴史を尊重し、bjリーグ側が提示した条件を承諾したことによる。また「一般社団法人日本トップリーグ連携機構(JTL)副会長の川淵三郎氏の尽力によるところが大きかった」と日本協会は話すが、仲裁が入らなければ話し合いのテーブルにも就くことさえもできなかったのが、日本のバスケットボールの現状だった。以下が、日本協会が6月21日に発表した「話し合いをスタートさせる前提」だ。

◆統一リーグへの話し合いをスタートさせる前提
●協会として、bjリーグのこれまでの日本バスケットボール界への貢献についてリスペクトすると同時に、統一されたプロリーグの創設については、当協会が責任を持って実行する。
●2016年にスタートさせる新しいプロリーグは、bjリーグ及びNBL、NBDLが統一された一つのプロリーグとする。
●2016年の統一を控え、2015年についても可能であれば交流試合を行うことも検討する。
●新リーグは新法人を設立して運営する。
●統一リーグ創設の証として、当協会の役員にbjリーグ関係者を新任する(予定)。
●具体的な内容は、新設する設立準備室「新リーグ設立準備室」において、各リーグおよびチームの意見を十分に採り入れて検討していく。
 

リーグ統合・プロリーグ設立に向けたこれまでの経緯と背景

 リーグ統一化に向けたこれまでの経緯と背景を整理したい。プロリーグ化に向けては、2015年を目途にプロリーグに発展させるものとしてNBLが“新リーグ”としてスタート。しかし、bjリーグから参戦したのは千葉ジェッツ1チームのみ。自主興行と地域名の付与をつけて運営面ではプロ化に近づいたが、bjリーグ側は「NBLはプロリーグでないのでNBLには参戦しない」(bj阿部専務理事)という姿勢を示していた。

 しかし2014年2月11日、予定からは1年遅れるものの日本協会が「2016年プロリーグ宣言」をし、3月15日にはプロリーグ化に向けた答申を発表しても、bjリーグ側としては「プロリーグのノウハウを相談されることなく進められた」と反発して、話し合いには応じなかった。この間、日本協会とbjリーグ間では一向に進まない書面でのやり取りが行われ、その間にもFIBAからは指摘を受け、「10月末までに統一リーグに向けて具体的な案を示さなければ、日本協会の資格を停止する」との最後通告を受けていた。

 日本協会はプロリーグに向けた答申を出したことで「話し合いに応じてくれ」という姿勢だったが、bjリーグ側は「勝手に進められた」という言い分があり、お互いが机上の空論で進めているだけのやり取りは、まさしく、これまでの相反する歴史同様に、平行線をたどるだけだった。
 

今後の課題は「リーグ統一」のみならず「強化」「日本協会の統括」についての改革。
10月末までに統一リーグの具体案を示さなければ、FIBAからは「資格停止」の制裁

 こうした長引く併存リーグ状態に発展性が見られないことから、FIBAが「トップリーグはFIBAルールのもとで国に一つ」(パトリック・バウマン事務総長)と指摘をしてきたのは当然のことだと言える。

 また、FIBAは日本協会が統括組織として機能していないことも問題視している。FIBAが日本のトップリーグの分裂について警告を鳴らしたのは、パトリック・バウマン事務総長が来日した2009年のこと。それから5年が経過しても日本協会は何も改善できていないからだ。

 この件については、3月15日にプロリーグの答申発表会見において、日本協会の丸尾充副会長(NBL理事長)が「FIBAから強化・リーグ構造・日本協会のビジネス意識の3つ改革を求められている」と、みずからの組織に統括能力がないことを受け入れた発言をしている。

 分裂するリーグの在り方はFIBAの規約にふさわしくないと見なされ、なおかつ、日本協会の統括能力の欠如に対してFIBAは「資格停止処分を科す」と勧告。そして遅れている強化について改善しなければ、東京オリンピックに間に合わないと警告を鳴らしているのだ。

 日本協会が資格停止処分の制裁を食らえば、2020年のオリンピックに向けて強化することはおろか、国際大会へのチーム派遣、国際審判の派遣、東京オリンピックから正式種目を目指す3×3の国際大会等の参加など、すべての国際大会への出場を禁止されてしまう。それでは自力で世界への切符を獲得している女子代表や男女のアンダーカテゴリー、国際大会のたびに選出されている国際審判員に対し、あまりの仕打ちである。

 今後は日本協会内に新リーグ設立準備室を設置。新たに日本協会の会長に就任した深津泰彦会長、丸尾充NBL理事長、bjリーグの河内敏光コミッショナーを含めたメンバーで協議を進め、NBLとbjリーグのチーム代表者も参加して、プロリーグ化に向けて具体案を作っていくことになる。

 プロリーグは2020年オリンピック開催に向けて統一するのではなく、日本のバスケットボールの強化と普及として必要なもの。FIBAから指摘を受けているように、今後は日本協会が統括組織としての機能を果たし、事業化に向けてビジネス感覚を持って進めていくことが求められる。10月末までにリーグの具体案を作り、リーグ関係者に同意を得るところまでしなければならない。最終期限はあと4ヶ月。これからが、プロリーグに向けての本当の一歩となる。