JBA丸尾充 副会長インタビュー
JBA丸尾副会長に聞く「プロリーグ宣言」の本気度

日本バスケットボール協会 丸尾充副会長に聞く
(Pリーグならびに構造検討プロジェクト担当)

プロリーグ設立に向けて、実質的な指揮を執る丸尾充・日本協会副会長

2月11日、日本バスケットボール協会(JBA)が「2016年にプロリーグを設立する」ことを決定した。

過去に何度も頓挫してきたプロリーグ構想。
これまで「プロ」と呼べなかったトップリーグを「プロリーグにする」と宣言した意志は本物なのか。
「プロリーグ宣言」の意志と内容を丸尾充JBA副会長のインタビューから明らかにしたい。
(2014年3月15日の記者会見と個別質問により構成)
 
文&写真/小永吉陽子
 
 
 
FIBAから指摘されたのは
“強化 ・ リーグ構造 ・ 日本協会の改革”
「プロリーグにしなければ日本のバスケは強くならない」

――2016年からの大きな変更としては、トップリーグを「プロリーグ」と呼ぶようになったこと。日本協会が考えるプロリーグの定義、プロリーグの仕組みとは何か。

プロリーグ宣伝をすることで、bjリーグがNBLに来なかった理由は解決していると思います。またその要素として、チームを保有する法人はバスケットボール事業・興行を主たる事業目的とする株式会社であること等を示しているわけですから、仕組みとしても解決していると思っています。経営や収益などの面でお互いに問題はまだまだあって、決めなくてはならないことはたくさんありますが…。

――今回ようやく日本協会が「プロリーグを設立する」と明言した理由は。

強化のためにプロ化しなきゃいけないと言い続けていたけれど、これまでは企業の役員の方たちに「プロ」というだけで反発を受けてきましたし、様々なことが決まらなくてプロ化するのに20年もかかっていました。プロ化を明言できたのは、やっぱり東京オリンピックが開催されることで背中を押されたことが非常に大きい。プロリーグを作ることで東京オリンピックに向かって強化をしようと。これで開催国なのに出場できないということになったら日本のバスケットボールは終わりだし、恥でしょう。そうはしたくない。開催国なのにオリンピックにも出なかったら誰も喜ばないわけです。

bjリーグと一緒になるためにプロリーグにするんだという思いがある一方で、プロリーグにしなければ、日本のバスケットボールは強くならないというのもあります。それが合致して方向性が一つになれば、ファンも一緒に応援できるし、選手の気持ちも変わってくる。選手の気持ちの変化は絶対に強化につながってきます。もうあとがない状態。だから宣言は必要でした。

bjリーグに話し合いのテーブルについてもらうアプローチが大事(2012-2013ファイナルより。撮影/相沢清司)

――答申には「bjリーグの認定団体登録を2015-2016をもって終了する」と明記してあるが、それでもbjリーグが新しいプロリーグに参入せず、bjリーグとして存続したい意志がある場合はどうなるのか。

答申にも明記されているように、bjリーグだけでなく、NBLもNBDLも2015-2016シーズンで終了しますし、bjリーグも2015-2016シーズンで終了します。つまり、2016年に新しいプロリーグができるので、それまでのリーグは前のシーズンで終わりますよ、という意味です。NBLという名前が残るのかどうかはわからないのだから、日本協会からもらっている権利は棚上げにして終了しますし、bjの権利に関しても日本協会に返ってくるのだから認定はいったん棚上げします、という意味です。

しかし、プロリーグが立ち上がる今は、bjリーグが存続することを想定せずに、「新しいプロリーグを一緒にやろう」と話し合う状態です。だから、これから作ろうとしているプロリーグというのは、今までのNBLやbjリーグが持っている状況は白紙に戻して新しく作るということなんです。でも目指しているのは、2015年を目途にしていたPリーグの形です。

――新しいプロリーグ設立に向けてはbjリーグのチーム参入が大きな課題になるが、そのためにどう取り組んで、どうアプローチしていくのか。

2013年にNBLができたとき、bjからは1チーム(千葉ジェッツ)しかNBLに来ませんでした。bjリーグが拒否した大きな理由は「プロリーグではない」ということでした。またもう一つの理由は、bjリーグからしてみれば、日本協会が何度もプロリーグを「やるやる」と言っていながらやらなかったとか、企業チームが地域名をつけたり、自主興行で運営できるわけがないという不信感が長い間あったと思います。

こういうことに対し、2013年に自主興行と地域名をつけるNBLがスタートしました。次は選手とチームの経営や運営の問題になります。そしてリーグは「2016年からプロリーグにします」と打ち上げました。これを信用していただいて、本当にプロリーグをやるんだということを丁寧に説明していき、bjリーグが入りやすい状態を模索していくことだと思っています。

今後2シーズンはリーグは続き、その中で各チームはプロリーグ参入に向けて検討していくことになる(2013-2014NBL開幕戦より)

――これまでNBLの企業チームはプロを名乗ることを反対していたが、各チームへ説明後の反応はどうなのか。

皆さん共通しているのは、トップリーグでやりたいという思いはとても強い。全部のチームではないけれど、プロリーグと呼ぶのも承知で前向きに受け止めてもらっています。具体的な議論はこれからで、そのテーブルには乗りましょうというところ。今まではプロというだけで企業チームに跳ねられたけれど、今回はプロリーグにしなきゃダメというところまできています。そのためには社員選手への経過措置も必要だし、どのリーグに何チーム入るか、どれくらいのレベルがPリーグなのかとか、これから決めなきゃいけないことはたくさんあります。その移行期間が2年間なのです。

bjリーグには2016年からプロリーグができると説明をした段階。各所属チームに説明を行う日程調整をbjリーグに依頼しているところです。

――昨年(2013年)12月にFIBAのパトリック・バウマン事務総長が来日したときに日本協会に向けた指摘があったが、それは一部のメディアにしか公開されなかった。どのような意見を日本協会に伝えてきたのか教えてほしい。

国にリーグはいくつあってもいいが、日本協会がガバナンスを発揮して運営するトップリーグは一つ。日本協会がガバナンスを発揮して、全体として一つのピラミッド型のリーグ構造の中でやりなさい。トップリーグの併存状態を解消しなさい。ということを、以前からFIBAに指摘を受けてきました。しかしFIBAにしてみれば、日本のリーグの形はピラミッドには見えないし、トップリーグが2つあると。これでは私たちの方針と違うのでは、ということを、今回も強調して言われた指摘です。

また昨年末に来たときにFIBAから指摘されたのは、日本はオリンピック開催国だし、ポテンシャルもあるので何とか出てほしいと<※1>。そのためには将来に向けて強化をしてほしいし、リーグを整備してほしい。また、日本協会にはバスケットボールの運営においてビジネス感覚を持つように改革してほしい。今までの日本協会の組織のままでそういうことができるのか、できるような構造改革をしなさいと指摘を受けました。「強化・リーグ構造・日本協会の改革」の3点の向上を目指し、プロジェクトとして動き出したということです。
 
 
<※1> 2008年の北京オリンピック後、2010年のFIBA競技規定の変更により、オリンピック開催地の自動出場枠はなくなっている。2010年に変更されたオリンピック出場12チームの内訳は以下の通り。 

●ワールドカップ(世界選手権)優勝チーム : 1チーム
●大陸枠 = 7チーム : アフリカ(1) アメリカ(2) アジア(1) ヨーロッパ(2) オセアニア(1)
●OQT=オリンピック世界最終予選枠 : 4チーム
●開催国に出場権を与える場合はFIBA中央委員会にて決定が下され、その場合はオリンピック最終予選からの出場数が減ることになる。(※2012年は開催地のイギリスが改革を推進したことにより開催地枠が与えられ、OQT枠が3とされた)

◆FIBA公式サイト FIBA Internal Regulation 33ページに明記
http://www.fiba.com/downloads/Regulations/2012/FIBABook2AG.pdf