4月2日:ファイナル第1戦  レポート&コメント
大事なファイナル初戦に現れた経験の差

第1戦はJX-ENEOSがタイトなディフェンスを発揮。富士通は何もさせてもらえないゲームとなった

FINAL GAME1

大事なファイナル初戦に現れた経験の差

第1戦 JX-ENEOS 77(23-11、28-7、14-11、12-22)51 富士通 

レポート・写真/小永吉陽子

若手の著しい成長によってファイナル進出を果たした富士通だが、7連覇を狙うJX-ENEOSの気迫の前にファイナルの洗礼を受けた初戦となった。第1戦はJX-ENEOSが攻守で圧倒し、77-51で先手を取った。

レギュラーシーズンとはまるで違う戦いになった。シーズン中、インサイドに頼みになって後手に回った動きとは打って変わり、集中した時の女王の破壊力は圧巻だった。

JX-ENEOSは内外角の攻めが面白いように決まることで、終始テンポのいいゲーム運びを展開した。その口火を切ったのはシューターの#5岡本彩也花だ。富士通はゲームの入りでJX-ENEOSのマークをとらえることができず、あまりにも簡単にシュートを打たせてしまった。岡本は前半だけで5本中3本の3ポイントを決め、#52宮澤夕貴、#21間宮佑圭はミドルシュートを連発。1Qで23-11とゲームを掌握した。守っても富士通のオフェンスをブロックショットで遮断し、ターンオーバーを誘って足を止め、チームプレーを完全にシャットアウトし、前半で51-18と圧倒。気持ちに余裕が出たJX-ENEOSの流れは止まらず、4Qにはケガ人を除く全員を出場させるゲーム運びを展開して勝負を決定づけた。

これだけの大差、しかも1Qで差がついてしまった理由は何だったのか。どちらのチームも「ファイナルに対する気持ちの差」を理由にあげている。

富士通のBTテーブスHCは「僕から見ても選手たちは緊張していた。スタートから気持ちが足りず、リバウンド、ターンオーバー、3ポイントの確率の低さとすべて大事なところで負けた。気持ちが弱くて若さが出てしまった」と語り、JX-ENEOSの司令塔#12吉田亜沙美は「初戦が大事ということはどのチームもわかっていることだけど、自分たちは何年もファイナルを戦っているので、全員がわかっている。特に富士通にはリーグで負け越していたので、出足からディフェンスを強めて戦った」と初戦の重要性を説いた。

「気持ちの差」と一言でいうものの、富士通が弱気な姿勢で自分たちを見失ってしまったことは、ディフェンスで散漫になった差に現れた。

JX-ENEOSは11球団の中で3ポイントの確率がいちばん低く(25.8%)、リバウンドが1位(46.5本)というインサイドに偏ったチームである。シーズン中の富士通はダブル・トリプルチームでインサイドを抑えにかかり、インサイドから外に出る苦し紛れのパスをローテーションディフェンスの激しさでカバーしていた。だが、第1戦はローテーションすることまで意識が回らず、ノーマークになった岡本に1Qだけで5本中3本という確率のいい3ポイントを決められている。このアウトサイドの確率の良さは、レギュラーシーズンとは違う最大の誤算だった。

対して富士通は「ガードのところをディナイされてブレークが出せず、自分はフェイスガード気味に守られた」(山本)というJX-ENEOSのプレッシャーに対し、前半でのシュート試投は27本に留まっている(JXは40本試投)。シュートの確率が悪かったというより、ゴールに持ち込む前に遮断されているのだ。そのうえで、シュートを打っても前半だけで5本(トータル8本)のブロックを浴び、焦りばかりが増す悪循環に陥ってしまった。まさに、「完膚なきまで」という言葉しか出ない第1戦だった。

大敗のあと、富士通の7年前の優勝を知る#1三谷藍は「経験の差が出て、みんながファイナルの舞台に飲み込まれてしまった」という言葉を発したが、そのすぐあとに「でも、これでいいんじゃないですか」と開き直った。

「これだけボロ負けしたから、次はやるしかない。やるべきことをやらないと勝てないことを、みんながわかったと思う」(三谷)

一発勝負とは違い、3つ勝たなければならないリーグのファイナルに臨むには、吉田が言うように「全員が」同じ方向を向いて強烈なパワーをぶつけなければならない。一人でも弱気な者がいれば、その穴を突かれてしまうことを、7年ぶりのファイナルに臨む三谷自身も思い出したのだ。三谷の言葉に続き、司令塔#10町田瑠唯や#15山本千夏も「終わったことなので次に切り替える」と前を向いた。

富士通がセミファイナルでデンソーに競り勝ち、レギュラーシーズンでJX-ENEOSに2勝1敗と勝ち越したのは、プレッシャーディフェンスの運動量で上回ったからだ。足を動かし続けて相手をへばらせることがJX-ENEOSに対抗する唯一の術である。そのうえで高さに対する仕掛けのディフェンスも必要になってくるが、まずは富士通のスローガンである「プライド&パッション」を思い出さないことには始まらない。出足からディフェンスのプレッシャーをかけられるかが、第2戦のポイントだ。そして次戦に、“富士通らしさ”を出さないことには、このシリーズの大勢が決まってしまうといえるほど、大切な試合となる。
 
 
◆次ページからはJX-ENEOSと富士通の試合後のコメントを紹介
 
 

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