日本人初となる「インターナショナルチーム」に選出
コミュニケーションが課題。刺激を受けた世界選抜

スキル面よりも「英語でのコミュニケーション力」の課題を持ち帰ってきた(©NIKE JAPAN)

文/小永吉陽子  取材協力/ナイキジャパン


刺激を受けたジョーダン ブランド クラシック出場。
課題は「英語でコミュニケーションを図ること」

八村塁(はちむら・るい/明成高3年/200㎝/「ジョーダン ブランド クラシック2015」ではフォワードの登録で臨んだが、チーム事情でインサイドでプレーした(写真/小永吉陽子)

明成高3年の八村塁が世界選抜メンバー(インターナショナルチーム)に選出され、「ジョーダン ブランド クラシック2015」に出場した。

「ジョーダン ブランド クラシック」とは、2002年に始まった全米のトップレベルの高校生が集うエキシビションゲーム。過去には、カーメロ・アンソニー(ニューヨーク・ニックス/2002年出場)やクリス・ポール(ロサンジェルス・クリッパーズ/2003年出場)らNBAで活躍する選手が出場するなど、全米の高校生にとっては憧れの舞台だ。また、世界のバスケットボール関係者が注目する中で、将来に向けて自分をアピールする場でもある。

全米代表選手はすでに強豪NCAAディビジョンⅠの大学に進学が決定している選手が集結し、世界選抜メンバーには世界17ヶ国から15~17歳の選手を中心に、技量とリーダーシップを持った20選手が選抜された。八村は昨年のU17世界選手権で得点王となったことで招待を受けたものだ。

八村は4月14日に渡米。一日2時間弱の練習を2日間行い、ニューヨーク観光やマイケル・ジョーダンに会うイベントなどをこなしたあと、17日にブルックリン・ネッツのホームであるバークレイズ・センターでエキシビションゲームを行った。

ゲームは8分クォーター制。1Q中盤から出場した八村は18分出場し、9得点、5リバウンド、1ブロックショットの活躍でチームの勝利に貢献した。試合にはフォワードのポジション登録で臨んだが、同じチームのセンターが怪我をしたことで4、5番のポジションを務めることになった。「高校ではアウトサイドの練習をしているので、外からのプレーをもっと試してみたかった」という点においては物足りなさがあったが、3Qに連続して決めた力強いレイアップシュートでは見せ場を作った。

また目を引いたのが試合中にメンバーたちとコミュニケーションを取るシーンだ。今回、世界選抜の選手の中には通訳をつけて練習やイベントに参加している選手が数人いたというが、八村はケガ防止のためにアスレティック・トレーナーを帯同させた以外は、明成高の方針として通訳をつけずに練習や試合、イベントに臨んだという。

「アメリカの大学に行きたい」と公言している八村だが、NCAAでプレーするには当然、英語でのコミュニケーション力が必要となるが、そのことを現地で肌で感じてきた。

日本代表として国際大会に出るのとは違い、「コミュニケーション力がなければ、アメリカの大学でプレーすることは難しい」と感じたことが何よりの収穫(©NIKE JAPAN)

ニューヨークからの帰国後、八村はジョーダン ブランド クラシックに参加しての感想を「とても楽しかったし、刺激を受けました」と笑顔を見せ、課題についてはこのように語っている。

「今回、一番の課題は言葉の通じない選手たちとコミュニケーションを取ることでした。練習ではフォーメーションを覚えることがメインで、日本でもやっていることなのですぐに覚えられたのですが、コミュニケーションをもっと取らなければと思いました。

それでも思っていたよりは、カタコトだけど英語で会話をすることができたし、友達もたくさんできました。特にブラジルの選手と仲良くなったし、中国の選手とは少ししか話せなかったけどとてもイイ奴で、こんなにうまい選手がアジアにいるんだなと感じました。

技術は通用したと思うけれど、ボールハンドリングとアウトサイドのシュートはもっと身につけなければいけない。特にミスが出てしまったので、ボールハンドリングは日本に帰って練習を頑張ります」

また、今回帯同した明成高のアスレティック・トレーナーの高橋陽介氏にとっても、世界中の高校生の体つきを目の当たりにしたことは、体作りを指導するうえで勉強になったという。

「全米選抜は年齢も1つ上だし、全米トップとあってスキルは世界選抜よりはるかに上でしたが、いちばん驚いたのが日本の高校生との体つきの違いでした。NCAAでプレーする選手たちの筋力やパワーとスピードのレベルを知ることができたのはいい機会でした。今後、日本の高校生の体をどのように鍛えていくか、日本の高校生に何が必要なのかを考えながらトレーニングの指導をしていきたい」(高橋トレーナー)

すでに現地のレポートでは「昨年のU17世界選手権から成長しているが、将来アウトサイドでプレーするために外のシュート力、走力、判断力がもっと必要」といった評価が出てきている。八村自身もそれらの課題については理解しており、そんな中で自身のスキルを発揮するためにも、「コミュニケーションがいちばんの課題」と感じて帰国したことは大きな収穫だった。高校卒業後の進路選択に向けて、大いなる刺激を受けたアメリカ遠征となった。