トヨタ東京vsアイシン三河のファイナル第3戦
JBAの川淵三郎会長がNBLファイナルを観戦

ハーフタイムでメディアを前に、前日に観戦したbjファイナルとの違いを語る

5月25日、第2体育館で開催されたNBLファイナル第3戦を、タスクフォースのチェアマンであり、先日、日本バスケットボール協会(JBA)の会長に就任した川淵三郎氏が観戦し、ハーフタイムでメディアの取材に応じた。

試合は1勝1敗のタイで迎えた第3戦。トヨタ東京vsアイシン三河の激突は、立ち上がりからアイシン三河が#14金丸晃輔の活躍で主導権を握り、一度もトヨタにリードを与えることなく81-69の完勝で逃げ切った。川淵会長は、この白熱の一戦を、観戦に訪れていた2人のオリンピック・メダリスト、元マラソンランナーの有森裕子さんやテコンドーの岡本依子さんらとともに熱心に見入っていた。

前日の5月24日には有明コロシアムで開催されたターキッシュエアラインズbjリーグ(以下bjリーグ)のファイナル、浜松・東三河フェニックスvs秋田ノーザンハピネッツ戦を観戦していたため、コメントは両リーグのファイナルを見比べた感想となった。

(有森裕子さん=女子マラソン:1992年バルセロナ五輪で銀メダル、1995年アトランタ五輪で銅メダル)
(岡本依子さん=テコンドー:2000年シドニー五輪で銅メダル)

 取材・文/舟山 緑  写真/一柳英男

◆NBLファイナルを観戦した日本バスケットボール協会:川淵三郎会長

「盛り上がりはbjリーグ、試合内容はNBLのほうが上だと感じた。
3点シュートで活躍の金丸選手を観て、非常に気を強くした」

場内の観客に紹介されて手を振る川淵三郎JBA会長

――NBLのファイナルをご覧になっての感想を聞かせてください。

技術的に相当こちらのほうが上だなというのは、見ていて明白だと感じました。シュートの精度やプレーのスピードとか、パスワークの正確さやバリエーションなど、bjリーグとだいぶレベルが違うなというのが率直な感想です。

アリーナの盛り上がりは、向こうは昨日(5月24日)1万人ぐらいいたので、こちらは3,000人弱だから、当然、向こうのほうが盛り上がりはすごいですけれど、試合内容としては明らかにこちらのほうがレベルが高いので、僕としては嬉しいようなそうでないような、非常に複雑な心境です。こういったレベル以上のところで日本のバスケットボールが発展していかなくてはというのが、今日の感想です。

――目についた選手は誰かいましたか。

14番の金丸(晃輔)選手ですね。彼は3点シュートなど、シュートではナンバー1だと事前に知っていたので、今日はどんな感じかなと観ていたが、期待にたがわずいいプレーをしていた。顔もすごくいいね(笑)。ああいう選手は、もっと日本の多くのスポーツファンに知られるべきだなと思います。だから彼を売り込まなくては、というのが率直な感想ですね。常に3点シュートをねらう姿勢とか、見ていて軽快だった。こういう選手が日本にいるんだということで、今日は非常に気を強くしました。彼は本当に素晴らしい選手ですね。多くの人に彼のプレーを見てほしいと、本当に思いました。

――代々木第2体育館のこの規模はどう感じましたか。

やっぱり小さいよね。昨日、有明コロシアム(1万人収容)を見ていての今日だから。これぐらいの規模で日本のバスケットボールが発展していくとは、とても思えない。昨日ぐらいとは言わないけど、やはりここの倍ぐらいの規模でのアリーナというのが、バスケットボール界全体が発展していく一番の素だなと感じた。今日の試合は、バスケットボールを初めて見た人たち、マラソンの有森さんやテコンドーの岡本さんらと一緒に見たが、2人ともすごく興奮して感動していましたよ。「すごくカッコいい男の子もいるね」と言っていたから、「有森さん、名前を言って、もっと売ってあげて」と言っときました。

初めて観る人が、このバスケットを興味深く観ることは間違いないなって思いました。昨日はうちの女房が初めて(バスケの試合を)観たので感想を聞いたら、「本当に面白い」って言っていました。「でも、あんなに点が入らないのはちょっとショックだった」とも。今日の試合をもし観ていたら、女房も大満足じゃないのかな。そういう点では、この日本のバスケットボールを、日本の多くのバスケットボールを知らない人に観てもらう必要があるなと。だから、テレビの中継とか、スポーツニュースに今日の金丸選手のような3点シュートのシーンを何度も放映してもらわないと。今日は前半だけでも4本か5本入っているよね、ああいうのを観るだけでもスカッとするんだよね。ぜひ、彼の名前と顔を日本中の人に覚えてもらいたいと思いますよ。

――現在、(タスクフォースでは)新リーグの1部から3部への振り分けを行っていて、会長はアリーナの規模を重視していますが、今日、NBLの競技レベルをご覧になって、それを勘案しなくてはというのは?

アリーナの規模とか財政力といった要素がいい選手を雇い入れる元になるので、移籍を積極的にできる仕組みを作れば、あまり戦力のことは心配しなくていいと思っています。はじめにかなり弱いチームであっても、若手選手が育ってきたり、いろんな移籍が頻繁に行われるようになれば、日頃、レギュラーで出られない選手がよそのチームに入ることでえらく成長することはあり得ることで、過去にはそれがなかった訳ですから。そういう意味で、今日の試合を観て、僕は非常に夢が広がりました。

――今日は平日の夜の試合ということで、空席もやや目立ちますが、その点は?

企業チームと言われているアイシンとトヨタの対戦で、これぐらいの熱気があるのは、それなりに非常によくやっていると思います。今後は勤め帰りに試合を観に来てくれれば……。(新リーグは)水曜日ぐらいに試合がやれればいいと思っているので、そういうのが習慣になれば、会社帰りに「みんなで(試合に)行こう」と、もっと広がっていくと思いますね。